芸能関連の取材をしていると、「長く活躍を続けること」の重要さや難しさを口にするタレントは多い。入れ代わりの激しい女性アイドル界となれば、なおさらだろう。

乃木坂46の高山一実(27)が7月22日、9月22日リリースの28枚目シングル(タイトル未定)をもってグループから卒業することを発表した。9月8、9日に行われる東京ドームコンサートがラストステージになり、同月末で活動終了する予定という。

実は高山には、グループ史に残る「記録」がかかっている。12年2月のデビュー曲「ぐるぐるカーテン」から、今年5月に発売された27枚目シングル「ごめんねFingers crossed」まで、これまで発売されたシングル全てで選抜入りしている唯一の現役メンバーだ。単純に考えれば、日本を代表するアイドルグループの第一線で活躍し続けてきた功労者と言っていいだろう。

過去にデビューシングルから全シングル選抜入りしていたメンバーは白石麻衣(28)西野七瀬(27)ら複数いるが、いずれも卒業している。最近では、高山とともに27作連続選抜入りしていた松村沙友理(28)も、7月13日をもって卒業した。9月22日発売の28枚目シングルで高山が選抜入りすれば、足かけ10年での“最長不倒”記録となる。

今や絶対的エースとなった同じ1期生の齋藤飛鳥(22)は、意外にも14年の10枚目シングルまでに7回の選抜落ちを経験している。初期からの人気メンバー生田絵梨花(24)は14年に進学準備などのため一時活動休止し、9枚目シングルに不参加。キャプテン秋元真夏(27)はオーディション合格後、通っていた高校が芸能活動禁止だったため活動休止し、12年の4枚目シングルから復帰した。理由はさまざまだが、他の中心メンバーでもデビューから連続選抜を続けるのは難しかった。

選抜制を用いる他のアイドルグループと比べても、27作連続の選抜入りは目を引く。特にデビューからの連続記録となると、AKB48では小嶋陽菜(33)の30作連続(メジャーデビューからは28作連続)に匹敵する数字だ。小嶋の記録が途絶えたのは運の要素が絡むイベント「じゃんけん大会」によるシングル選抜だったため、単純に比べることはできないが、ともに長年にわたってグループを支えてきたことは間違いないだろう。

高山は11年8月に乃木坂46の1期生オーディションに合格し、初期からグループのムードメーカーとして活躍した。シングルセンターの経験こそないが、次々と後輩メンバーが入ってくる中で、選抜のポジションを守り続けた。

人気や知名度はもちろん、歌唱力、パフォーマンス力、トーク力、体力、人柄、運…。デビューから27作連続(次作でも選ばれれば28作連続)の選抜入りは、高山の総合力があってこそ打ち立てられた金字塔かもしれない。  【横山慧】