メンタリストDaiGoの生活保護やホームレスをめぐる発言が騒動となる中、生活困窮者や生活保護受給者を支援する4団体は14日、「メンタリストDaiGo氏のYouTubeにおけるヘイト発言を受けた緊急声明」と題した共同声明を発表した。

4団体は「生活保護問題対策全国会議」「一般社団法人つくろい東京ファンド」「新型コロナ災害緊急アクション」「一般社団法人反貧困ネットワーク」。

声明では、DaiGoが7日に公開したYouTubeの動画で、「生活保護の人に食わせる金があるんだったら猫を救ってほしいと僕は思うんで。生活保護の人が生きてても僕は別に得しないけどさ、猫は生きてれば得なんで」「自分にとって必要のない命は、僕にとって軽いんで。だからホームレスの命はどうでもいい。」などと発言したことを説明。「DaiGo氏が猫を大切に思う気持ちは尊重されるべきとしても、猫と生活保護利用者やホームレスの人の命を比べて、後者について『どうでもいい』と貶めることは、明らかに一人一人のかけがえのない命を冒涜するものです」と断じた。

また、DaiGoが「どちらかというといない方がよくない、ホームレスって?」と繰り返し視聴者に問いかけたとして、「差別と偏見に満ちた認識を示した」と指摘。「DaiGo氏の一連の発言は、人の命に優劣をつけ、価値のない命は抹殺してもかまわない、という『優生思想』そのものであり、断じて容認できるものではありません」「さらなるヘイトクライムを誘発する危険のある、極めて悪質な発言と言わざるを得ません」と記した。

さらに「著名なテレビタレントであり、YouTubeチャンネル登録者数が250万人にも及ぶ『インフルエンサー』であるDaiGo氏による今般の発言は、ホームレス状態の人に対する実態をみない偏見をさらに助長し、排除を誘導するものであり、さらに、生活保護に対する市民の忌避感をより一層強め、命をつなぐ制度から人々を遠ざけ、生活困窮者を間接的に死に追いやる効果を持つものです」と言及した。

また、DaiGoが13日夜に発言を「謝罪」する動画を配信したことについても触れ、「ここで示された考え方は、他者を評価する基準を『頑張っている』(と自分から見える)かどうかに変えただけであり、他者の生きる権利について自分が判定できると考える傲岸さは変わりません」などとの見解を示した。。

その上で、4団体は声明で、Daigoにあらためて謝罪を求めるなど、5つの提案を記した。(以下抜粋)

1.DaiGo氏は、形だけの反省・謝罪にとどまらず、この動画がヘイトスピーチに該当する内容であることについて真の理解に至ったうえで、改めて発言を真摯に反省・撤回し、生活保護利用者、ホームレス状態にある人々に謝罪すること。また、「処刑」や「殺す」という言葉を用い、特定の人たちを社会から排除・抹殺することを正当化することは、ヘイトクライムやジェノサイドを誘発しかねない反社会的行為であることを認識し、この点についても明確に発言を撤回し、謝罪すること。

2.「最後は生活保護がある」と述べた菅首相は、DaiGo氏の発言が許されないものであることを明言したうえで、生活保護の申請が国民の権利であることを率先して市民に呼び掛けること。

3.厚生労働省も、公式サイトにおける「新型コロナウイルス感染症の影響により生活にお困りの皆さまへ」のページにおいて、生活保護制度の案内を大きく取り上げる等、制度利用を促す発信に力を入れること。福祉事務所が追い返しなどしないように、周知徹底をはかること。

4.マスメディアは、DaiGo氏の起用を差し控え、その発言の問題点を報道し、このような発言を許さない姿勢を明確にすること。

5.私たち市民は、今回のDaiGo氏の発言を含め、今後ともこのような発言は許されないことを共に確認し、これを許さない姿勢を示し続けること。