宝塚歌劇団の月組トップ珠城(たまき)りょうが15日、東京宝塚劇場で行われた「桜嵐記(おうらんき)」「Dream Chaser」の千秋楽をもって、約14年間過ごした宝塚歌劇団に別れを告げた。

公演終了後の会見で珠城は「宝塚人生は私にとってすべてでした。夢の世界でした。かけがえのない時間でした」と振り返った

情熱的で包容力のある男役を目指してきた。珠城は「包容力は確立することができたかなと思いますし、スーツと黒えんびの似合う男役にはなれたのかな」と話した。

08年に入団し、16年9月にトップに就いた。入団9年目のトップ就任は、近年では天海祐希の7年目に次ぐ速さだった。トップ在位は約5年。プレッシャーも重責も背負ってきた。舞台上のセレモニーでは「この立場になって約5年。初めは大きく感じた羽も、組のみんなの思いが1本1本の羽になり、ファンのみんなの思いがあたたかい風を起こし、私は今、軽やかに羽ばたいています」と感謝し、すがすがしい笑みを見せた。

セレモニーでは目を潤ませる場面もあったが、「幸せ」という言葉を何度も使い、最後まで笑みを絶やさなかった。

コロナ禍で退団が半年延期になるなど影響も受けたが「誰のせいでもない。なるようにしかならない」と、目の前のことに取り組んできた。今後については「まだ何も決まっていないので、まずは職探しをしないと。きっと外に出たら新しい出会いが待っている。卒業されたOGの方もたくさんいる。すてきなご縁がつながっていくといいと思います」と希望を語った。

この日をもって珠城、相手娘役美園さくらを含め、計9人が退団した。【小林千穂】

◆珠城(たまき)りょう 愛知県蒲郡市生まれ。06年4月宝塚音楽学校入学。08年3月宝塚歌劇団入団、「ME AND MY GIRL」で初舞台。同5月に月組配属。10年「スカーレット・ピンパーネル」で新人公演の主演に抜てき。16年9月、月組トップに就任。「アーサー王伝説」「グランドホテル」「エリザベート-愛と死の輪舞-」「ピガール狂騒曲」など、感情豊かな演技と堂々とした存在感が特徴。悪役や野望を秘めた役も魅力的に演じた。172センチ。