公演関係者に新型コロナウイルス感染者が出たため、開幕日の変更を発表していた桐谷健太(41)主演の舞台「醉いどれ天使」が5日、東京・明治座で初日を迎えた。

黒沢明監督が戦後の混乱期に生きた人々を描いた1948年の映画「醉いどれ天使」の舞台版。桐谷が主演し、演出を三池崇史氏が手掛ける。共演は高橋克典、佐々木希、田畑智子、篠田麻里子、高嶋政宏ほか。

当初予定していた3日の開幕を5日に変更し、この日初日を迎えた。肺病に侵されたやくざの松永を演じる桐谷は「今、日に日に全体がパワーアップしているのを感じますし、稽古をしていない時も、その時代や松永の感情が流れ込んできて、どんどん変化していくのを感じます」。また「他のキャストの皆さんも力強いうねりのようなエネルギーが1つになったり、ぶつかりあったり、いろんなところで刹那の強い渦が現れて、とても刺激的です。きっと毎回違う世界が生まれるのだろうとワクワクしております」とコメントした。

医師の真田を演じる高橋は「戦後の焼け野原の中から力強く立ち上がり必死に生きる全ての登場人物たち。その生き様に心打たれます。僕が演じる真田は、幾重にも挫折を重ね、医者としてのまっとうな心を持ちながらも酒に溺れる街の医者です。昔確かにいた、街ののんだくれの頑固オヤジですね。桐谷健太さん演じる松永と出会い、ぶつかり合いながらも共に生きる中でどう変わって行くのか、ぜひご覧になっていただきたいと思います」。また「人生における時期も含め、とても今の自分に合った役だと感じています。素晴らしいスタッフ、魅力的な共演者たちと一緒に演じられることがうれしく、役者としてのやりがいを感じています」と意気込んでいる。

公演を行う明治座は先月27日、公演関係者に新型コロナ感染者が出たため、開幕日を3日から5日に変更し、あわせて3公演を中止すると発表。理由を「初日を迎えるまでの十分な準備期間が確保できない」などと説明していた。

公演は大阪・新歌舞伎座(10月1日~11日)でも行われる。