星組5年目の男役スター礼真琴は、兵庫・宝塚大劇場での本公演「ミュージカル ロミオとジュリエット」(7月8日まで)で、主人公ロミオの友人ベンヴォーリオと、宝塚版オリジナルの表現者「愛」を役替わりする。18日の新人公演(宝塚大劇場)初主演も決まった。元サッカー日本代表の浅野哲也氏を父に持ち、役替わり、初主演も「体当たりで」と威勢がいい。東京宝塚劇場は7月26日~8月25日まで、同新人公演は8月8日。

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 「ジャンプアップ! そうなんです。3年たって、やっぱり前回よりも、上を目指さなきゃって、プレッシャーはすごかったです」

 星組では3年前に同じく柚希主演で、梅田芸術劇場と博多座で「ロミオとジュリエット」を、日本初演として上演した。その後、宝塚でも雪組、月組などで再演され、再び柚希ロミオが登場した。前回「愛」を演じた礼は今回、本公演で役替わり、新人公演主演と"3役"に挑む。

 ベンヴォーリオは、前回星組公演で涼紫央が演じた役柄。「とよこさん(涼)が演じたあの役が大好きでした。(主演)柚希さんとは学年も離れていますが、私自身、本当に崇拝しています。まず、お友達に見えるところから、努力しました」。セリフの言い回しや立ち居振る舞いにも気を使ったという。

 役替わりの「愛」は、セリフがなく、ダンスで感情を表現する女役。3年前にも演じたが、今とは経験が違う。「3年前は何も分からず、ただがむしゃらに踊っていた。でも入団5年目の今、ロミオとジュリエットを結ばせたのは"愛"とか、深く考えるほど楽しい役です。表情や動きひとつ、人間離れした感じで、パワーアップしたい」

 前作の台湾公演は、台湾で人気の怪盗を主人公にした「怪盗楚留香外伝-花盗人-」。トップ柚希の相手役となる女役を演じたことも、財産になっている。

 「柚希さんと1対1で演技をするのも、本格的な女役も初めて。最初は地に足がついてないというか、演出の先生から『ファンになっているよ。(柚希が)かっこいいのは分かるけど』と言われました(笑い)」

 目の当たりにしたトップの演技やオーラに、多くを学んだ。そして今回は、その柚希の役、ロミオを新人公演で演じる。「体当たりで! 自分が思う10代の等身大のロミオ、友だち思いの優しい気持ち、ジュリエットへの永遠の愛を感情豊かに表現したい」。

 昨年末の新人公演、ショーの一場面で柚希のポジションに立った。「(真ん中に立ち)周りがいての自分を感じました。同時に、すごく気持ちよかった」

 元サッカー選手の父のDNAか、体を動かすことが好き。"3役"に挑むが、体力への自信は「あはは」と笑い飛ばした。「男役と女役なので、鍛えすぎてもいけない。ストレッチ、腹筋はやっています。あとはたくさん寝て、好きなものを食べて、毎日笑って元気に過ごす」。父や家族にも初主演の新人公演を「見に来てと言った」。気負いなく、自然体で階段を上っていく。【村上久美子】

 

 ◆ミュージカル「ロミオとジュリエット」 世界で最も知られる永遠の純愛物語。シェークスピアの原作を、作詞家、作曲家兼演出家のジェラール・プレスギュルヴィック氏がミュージカル化し、01年にフランスで初演。日本では小池修一郎氏の潤色・演出で10年7月、星組の梅田芸術劇場、博多座公演で初上演。その後、11年に雪組、12年に月組の大劇場公演で再演。

 

 ◆礼真琴(れい・まこと)12月2日、東京生まれ。09年4月、宙組公演「Amour それは...」で初舞台。星組に配属。10年、梅田芸術劇場などで日本初演となった「ロミオとジュリエット」で「愛」に抜てき。今年3~4月、中日劇場、台湾公演「怪盗楚留香外伝-花盗人-」では、石繍雲役。身長168センチ。愛称「まこっつぁん」「こと」「どんちゃん」。