V6がデビュー26周年となる1日、千葉・幕張メッセでのラストライブをもって解散します。岡田准一(40)三宅健(42)森田剛(42)井ノ原快彦(45)長野博(49)リーダー坂本昌行(50)の6人の活動の軌跡を、日々の取材および紙面連載「サタデージャニーズ」などを通じて触れてきた日刊スポーツ記者が振り返ります。

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坂本はかつてインタビューで、みずからを「カメ」と称した。イメージはのろまだが、日本人の多くは物語の「浦島太郎」や「ウサギとカメ」に親しみ、義理堅い、着実、不老長寿、幸運を招くなど好印象を持つ。

確かにカメである。95年にV6でデビューしたのが24歳3カ月。レッスンについていけず、20歳前にジャニーズ事務所を1度退所。旅行会社に勤務した後、戻った経験を持つ。

遅れは簡単に取り戻せなかったが、遠回りの先に幸運が待っていた。中学時代はバレーボールに熱中し、夢は実業団選手だった。デビュー前年の94年に同競技のプロ化を目指し、Vリーグが開幕。V6はバレーボールW杯のイメージキャラクターとして結成された。「V」に「Volleyball」の意味もある理由だ。経験が奏功し、メンバーに抜てきされた。

「自分はカメだと思っています。遠回りしたなと言われますけど、逆にそれで分かることもある。年齢は言い訳。常に上へ、と思い続けたい」。卓越した歌唱力と、175センチの長身を生かした表現力で、ミュージカル俳優としても活躍している。着実に努力してきた結果だ。「自分なりの方程式ができたかな、と思えるようになりました。『そうだよね』と言ってうなずくシーン。そのセリフの中の『YES』の比重が100%なのか、50%なのか20%なのか。それを理解して演じる。以前より、間違いを恐れなくなりました」。

リーダーとして大変だったと思う。「まとめるコツは、まとめないことです」と笑う。おごらず、着実に歩んできた。これから先、大きな成果を得るのは、やはりカメである。【笹森文彦】

◆坂本昌行(さかもと・まさゆき)1971年(昭46)7月24日、東京都生まれ。ジャニーズ事務所を辞めて旅行会社に就職。その後、再びレッスン生として復帰。95年、V6としてCDデビュー。井ノ原、長野とともに20th Century(通称トニセン)。歌唱力に定評がありミュージカルで活躍。11年「ゾロ・ザ・ミュージカル」では英国スタッフ中心のオーディションで主演をつかんだ。ほか「THE BOY FROM OZ」「TOP HAT」など。16年に読売演劇大賞で優秀男優賞。175センチ。血液型O。