女優大竹しのぶ(64)がフランスの国民的歌手エディット・ピアフの半生を演じる大ヒット舞台「ピアフ」が、来年2月24日から東京・日比谷シアタークリエで5度目の上演を果たすことが7日、分かった。ライフワークともいえる作品に大竹は「90歳までピアフ」への思いを語っている。

   ◇   ◇   ◇

4年ぶり、5度目のピアフに挑むことになった大竹は「もう1度ピアフに会いたいと思っていたので、とてもうれしい」。また「前の方が良かったと思われたら意味がない。難しさは増しますが、全身全霊で愛を与えて突っ走ったピアフの精神を、お客さんを置いていくくらいの勢いで演じたい」。今年は東京オリンピック(五輪)閉会式の大舞台も経験しているが、「こっち(ピアフ)の方が緊張する」と即答した。

波乱の半生が「愛の讃歌」「バラ色の人生」「水に流して」など数々の名曲とともに描かれる。中でも、魂の叫びとして聴く人を圧倒するクライマックスの「愛の讃歌」はNHK紅白歌合戦(16年)でも披露され、今回も大きな見どころとなる。

「異次元の感じですよね、あの場面は。いろんなことがあったけど、愛しているのはたった1人という純粋な愛の歌。倒れようが『この愛をあんたに伝えたいのー!』という気持ちを前に出して、歌と心が離れないように歌いたい」。ピアフと自身の共通点について「1回1回の舞台に自分を丸ごと出す、という思いは舞台役者はみんなあると思う」。逆に「あれだけの男性遍歴はちょっと共感できない」と笑った。

ステージでは、貧しい裏町時代から成功後の男性遍歴まで、下着姿になる場面も多い。その話題になると、これまでの闘志あふれる表情を一変させ、「どうしよう」と大笑い。思わず、初演から下着姿をともにしてきた梅沢昌代(67)に電話したという。「また私たちスリップ一枚になるんだよ、もう64だよ、こんなの誰も見たくないよねぇ、って。ふふふ」。

ファンの期待がある限り「90歳までピアフ」への思いはある。「(40代で死去した)ピアフが怒りそうだけど、これが見納めとは言いたくない。彼女の精神を自分のものにしたいと、一生思える出会いです」と話している。

◆「歌手」大竹しのぶとピアフ 16年、「愛の讃歌」でNHK紅白歌合戦に出場して話題を呼び、翌17年に正式にレコーディングされ配信された。18年にはアルバム「SHINOBU avec PIAF」を発売し、日本レコード大賞優秀アルバム賞受賞。