中村芝翫がNHK大河ドラマ「青天を衝け」（日曜午後8時）で明治の実業家・岩崎弥太郎を演じ、話題になっている。豪快だが何を考えているか分からないという怖さを感じ、写真でよく見る弥太郎にかなり近い。

先日、国立劇場で上演中の歌舞伎公演の取材で、「青天－」の話が出た。芝翫は、弥太郎を演じるにあたり、体重を5～6キロ増やして臨んだそう。あの貫禄は、心身ともに作ったものだったのだ。ただ「先月はひざが痛くてね」と苦笑いし、痛みの中、10月公演に出ていたことを明かした。

しかし取材ではすっきりしているように感じたので、絞ったのかと聞くと「7キロ落としました」とのことだった。同劇場での演目は「一谷嫩軍記」。熊谷次郎直実という悲劇に見舞われる武将の役で、大きな動きも多いだけに、絞って正解だったようだ。

それでも芝翫は「もっとやせないといけませんね。だから、自転車を買いました。そろそろ国立劇場にも自転車で通うかもしれません」と話していた。新陳代謝が落ちる年齢にさしかかると体重増減は簡単ではない。貪欲に役にアプローチする思いを感じた。【小林千穂】