歌舞伎俳優尾上菊之助(44)が15日、都内で、「十二月大歌舞伎」(12月1~26日)の第2部「ぢいさんばあさん」の取材会を行った。

離ればなれになったおしどり夫婦が、37年後に再会する物語。菊之助は妻るんを初役でつとめる。物語の前半は若々しく、後半は年を取った姿になる。白髪のかつらを着けるのも初めてという菊之助は「『ばあさん』ができるか分からないが挑戦しようと思いました」と話した。

挑戦してみようと思ったのは、今年6月に父菊五郎と市川左團次が出演した、仲むつまじい老夫婦を描いた「夕顔棚」だった。軽妙な夫婦のやりとりや、若者たちとの交流が登場する作品。

菊之助は「これまで『夕顔棚』の魅力があまり分からなかったのですが、こういう情のある夫婦の形っていいなと思いました。残していきたい心だと思いました。『ぢいさんばあさん』の話があった時、『夕顔棚』で感じた日本の心を残していきたいと思ったんです。父のような年齢になったら、あんな世界観のあるものを描ける役者になりたい」と話した。

37年間、夫を待ち続けるという設定については「想像しかできませんね」と言う。しかし、初舞台からちょうど37年たったことを聞かれると「すごいことを教えていただきましてありがとうございます」と笑い「そう思えば山あり谷ありでした。そんな自分の人生経験も役作りのひとつになるのかな」と語った。