「AKIRA」で知られる漫画家で映画監督の大友克洋氏(67)が28日、都内で行われたアニメ映画「迷宮物語」公開記念トークイベントに出席した。

大友氏は、86年上映のオムニバスアニメ映画「迷宮物語」内の一作「工事中止命令」を監督。角川映画の誕生45年を記念し、東京・新宿の劇場で開催中されている「角川映画祭」の企画としてイベントが行われた。

登壇した大友監督は「人前にしばらく出ていなかったので、こんなに人がいるとあがってしまいそう」と照れ笑い。「迷宮物語」制作時は「AKIRA」の連載中だったことを明かし、「1週間で『AKIRA』を書いて、徹夜明けで自転車に乗って(アニメ制作会社)マッドハウスまで行ってました」と過酷な制作状況を振り返った。

同作では原画も描いたが「終わった後で、あれどこにいったの? と聞いたら『全然ない』と」と制作側が紛失したようで、「何も残ってない。コピーもしてなかったので、原画とかレイアウトが全然ないんです」と苦笑した。また「スタッフの人が来ていたら返してもらいたい。(漫画関連の貴重グッズを取り扱う)『まんだらけ』に出てないかな」とぼやいて笑わせた。

83年の映画「幻魔大戦」への参加を機にアニメーションの世界に足を踏み入れた。漫画とアニメで多忙となったが「よくやってましたね。でもアニメーションの現場に行くことが楽しかった。新しいことを覚えるのも楽しかった」。自身のルーツを語る場面では「子供の頃にアニメーションを見ていたし、ちょうどテレビで『鉄腕アトム』が始まった。漫画も読み始めた頃、週刊紙がはやり出していった。振り返ると、いつもそういうところにいる。興味の沸くものがそのまま仕事になった。ラッキーなんじゃないですかね」と話した。