萩原みのり(24)が3日、東京・シネマカリテで行われた、3年ぶりの主演映画「成れの果て」(宮岡太郎監督)初日舞台あいさつで「とにかく、とてつもないものがやってきた。読んでいると…何で? と怒りが出てきた。お受けするのに、ここまで悩んだ作品は初めて」と吐露した。

「成れの果て」は、劇作家・映像作家のマキタカズオミ氏主宰の劇団「elePHANTMoon」が2009年に上演した同名戯曲を、宮岡太郎監督が自主映画として完成させた。東京でファッションデザイナーの卵として暮らしていた小夜が、地元に暮らす姉のあすみ(柊瑠美)から電話で結婚を報告されたものの、相手が8年前に自らの身に降りかかった事件に関係していた布施野(木口健太)だと知る。いてもたってもいられず、友人のエイゴ(後藤剛範)を連れて故郷へ戻った小夜の突然の帰郷から、質素ながらも平穏だったあすみの暮らしは、小夜を中心に回り出す物語。

萩原は、つらかったシーンについて聞かれると「全部、つらい」と答えた上で、小夜があすみの住む実家に帰ったシーンだと口にした。あすみをはじめ、地元の知人らに全く歓迎されていない帰宅のシーンで、「『ただいま』が、あんなに(家族の間から)『おかえり』にならないのが苦しくて…1番最初に撮ったんですけど、絶対、この雰囲気に負けんぞと…。大きかった」と振り返った。

また、小夜が姉と布施野のところに行ったことについて「一緒にいたくない…小夜の選択が気になって、小夜になってその風景を見たい、私がの風景を見て良いのかと(葛藤があった)。小夜が1人で叫んでる、その横に行きたい…小夜が好きというのが1番」と語った。

舞台あいさつ中、萩原は非常に重く、ハードな内容の作品を思い起こしてか目に涙をためていた。舞台あいさつの最後に「この作品を通して、根に持つって、つらいことじゃない…持ちまくれば良いじゃんと思った。忘れたくても忘れられないことは、きっと忘れられない。大事に自分の中にとどめて、一緒に生きていく…前を向くために大事なことだと思った」と映画について語った。その上で「1人でも多くの人に、と言うより、1人でもいいから誰かの心のお守りになって欲しい」と訴えた。