コンポーザーのAyase(27)、ボーカルのikura(21)からなる「小説を音楽にするユニット」YOASOBIが5日、武道館で初の有観客ライブ「NICE TO MEET YOU」の2日目公演を開催した。

ikuraの透き通ったアカペラが、約7000人の心に染み渡る。「予知夢」がキーワードとなる小説「夢の雫と星の花」が原作となった「あの夢をなぞって」で幕開け。2人が夢見た憧れのステージに、初ライブでたどり着いた。床には1682枚のLEDが敷かれ、花火を打ち上げた。「初めまして、YOASOBIです!」。多くの拍手で迎えられた。

これまで2回、配信ライブを行った。観客の拍手に乗せて歌唱するのも初めてだった。ikuraは「武道館という日を、初めましてする日を、ずっと待ちこがれていました」。前日の夜には、自身が高校1年の時に来た武道館ライブのグッズを見て「私、ここに立っているんだ」と実感したという。「ここまで連れて来てくださった皆さんと、初めましてできるのは、本当に幸せだなって思います。1秒1秒大切に歌うので、皆さんもかみしめていただけたらと思います」と力を込めた。

Ayaseは、10年近く続けていたバンドのメンバーが、久しぶりに夢に出てきたと明かし「なんかのお告げなのかな。『頑張れよ』って言ってくれているのかなって」と笑った。コロナ禍もあり、ファンと会えない苦しい時間が続いた。「武道館に立つ夢と、皆さんにお会い出来るっていう夢が同時にかなう。こんな幸せな事はないと本当に思っています」と感謝した。

「小説を音楽にするユニット」らしく、ikuraが曲間に朗読する演出も。いつでも写真撮影ありという近年、珍しい“サービス”もあり、初日はAyaseがスマホで、2日目はikuraが自分のカメラで客席を記念撮影する一幕も。演出も細部までこだわり、「怪物」では400台の照明機材をはじめ、上下に動くステージや炎で観客を魅了した。

ライブは1日約7000人、2日間計約1万4000人を動員。ストリーミング総再生数が6億を突破した代表曲「夜に駆ける」や「群青」「三原色」など、1時間半で全15曲を披露。アンコールでは、感謝の思いが込められた「ラブレター」を披露。ikuraは「この空間には愛しかないなって。こんなに素晴らしい思いをさせていただき、感謝しかないです」と涙を流した。「ここからまたYOASOBIとして、もっともっと面白いことを続けていきますので、応援よろしくお願いします。大好きです!」。結成から2年以上温めた感謝の思いをファンに届けた。【佐藤勝亮】