河瀬直美監督(52)が24日、都内で21年の東京オリンピック(五輪)公式記録映画の製作報告会見を開いた。

席上で、舞台に立つアスリートを中心とした五輪関係者たちを描いた「東京2020 SIDE:A」と、大会関係者、一般市民、ボランティア、医療従事者などの非アスリートたちを描いた「-SIDE:B」と、異なる視点からの2作品を製作し6月3、24日に連続公開すると発表した。

河瀬監督は会見の最後に、ロシアのウクライナ侵攻について触れた。「悲しい現実が起きている中、映画の会見をさせていただくのが、今であって良いのかと私個人としては考えています」と会見を開くこと自体、ためらいがあったと明かした。その上で「世界には、さまざまな悲しみと、目を覆いたくなるような出来事が起こっています。エンターテインメントというのは、そういう人たちの心にも、でき得れば届けたいという思いで、私自身は映画を作っています。ロシアの侵攻が行われる前から、こういった出来事が起こらないためにも、自分自身の映画が誰かに届いて、そういった行為がなくなればいいのにと、ずっと、ずっと思い続けています」と、映画の持つ力を信じていると強調した。

河瀬監督は、涙声になり、目を潤ませた。そして「東京大会が今も、これから先も歴史に残り、50、100年後の人が見た時に分断を起こさないで欲しい。どうして今、手に取ることが出来るだけの、ささやかな幸せを守ることが出来ないのか、というような事態にならないで欲しいと願いを込めて会見に臨みました。映画が皆さんにとって、光になりますようにと願っています」と口にした。