女優泉ピン子(74)が、芸歴56年で初めて朗読劇に挑戦することが3月31日、決まった。脚本家内館牧子氏のベストセラー小説「すぐ死ぬんだから」の舞台化で、8月4日のあうるすぽっと(東京都豊島区)を皮切りに全国上演する。共演は村田雄浩(62)。

夫の死後、愛人と隠し子がいることを知った妻(78歳)のプライドを痛快に描く。自身も95年、医師である夫に愛人と隠し子がいることが発覚し、「許します」と芸能史に残る号泣会見をした経験がある。「あの一件を気にしていたらこの仕事は受けていない」とし「年をとると、自分に不利益なことは忘れていくからいいわね。信じちゃダメなの夫婦って。70過ぎたらウソつき大会なんだから」と豪快に笑う。

号泣会見には、脚本家橋田寿賀子さんのシナリオがあったことも初めて明かした。「泣きたくなかったけど、橋田さんが『号泣しろ』って言うから。あんなにウケなかったことないわよ」。その夫とも33年連れ添ってきた。今回、作品を通して初めて知ったという「死後離婚」を引き合いに「あいつより長生きして死後離婚! かたきを討つならこれしかない」と笑わせ、役柄について「愛人に一発かましてやるという精神は私と似ている」とした。

朗読劇は長年の夢だったという。「死ぬ前にやりたいとずっと思ってきた。夢ってかなうんですね。素で出ていくので役者としては怖いですが、この作品を私の終活にしたい」。11月まで8都市での公演が決まっている。「今まで、泉ピン子を愛してくれてありがとうという気持ちで行きたい。生存確認でいいから、生の泉ピン子をどうぞ見に来てください」。

○…夫役の村田は、ピン子自身が「気心の知れた人を」と指名した。夫婦役のほか、2人ですべての登場人物を担当する。村田は「ピン子さんは先輩の中でも群を抜いてパワーと存在感のある人」とし、「内館牧子さんは、この主人公はピン子さんしかいないと思って書いたんじゃないかというくらいぴったり。僕も毎日挑戦です」と話している。