15歳で歌手デビューし、今年で50周年の節目を迎えた石川さゆり(64)。「津軽海峡・冬景色」「天城越え」など歌謡史に輝く名曲をお茶の間に届けて半世紀。人生を歌にささげ、常に向上心を忘れない歌謡界のトップランナーだ。
29日の紙面「日曜日のヒロイン」に掲載できなかったアナザーストーリー(一部重複)を全7回に分けてお届けする。【取材・構成=松本久】
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石川にとって、歌の原風景は生まれ育った熊本県にある。祖母が米粉を石臼でひきながら歌っていた声が、今でもわずかに耳に残っている。歌好きの祖母が教えてくれたのが「船頭小唄」だった。
島倉千代子さんの大ファンだった母親に連れられてコンサートに行ったのが小1の時。「私も島倉さんを好きでしたけど、まずは母が大好きで、熊本の公演にいらっしゃった時に見に行きました。夢のような世界で、あまりの美しさに『いいなー、こういうふうになりたい』と思ったの」。
10歳の時に熊本から横浜に引っ越し。中学時代には歌手になりたい一心で歌のレッスン教室に通った。「わが家は普通のサラリーマンの家でした。学習塾に行くお金は出してくれたんですよ。でも、歌のお稽古は『そんな夢のような…』と出してくれませんでした。『それでもやりたければ自分で』と言われて牛乳配達のアルバイトをしました。当時、中学生にできるバイトは牛乳と新聞しかなかったんです。日曜日が歌のお稽古なんだけど、新聞(配達)は休みがないんですね。牛乳は土曜日に2本配ると日曜日はお休みになるんです。それで牛乳配達を選びました」。(続く)
◆石川(いしかわ)さゆり 本名石川絹代。1958年(昭33)1月30日、熊本県生まれ。73年に「かくれんぼ」でアイドル歌手としてデビュー。77年に「津軽海峡・冬景色」が大ヒットし、同年に同曲で紅白歌合戦に初出場。昨年までに紅組最多の44回出場中。代表曲に「能登半島」「天城越え」「風の盆恋歌」など。19年に紫綬褒章を受章。血液型A。



