大阪松竹座「七月大歌舞伎」(3~24日)の船乗り込みが29日、大阪市内で、3年ぶりに開催された。

コロナ禍で取りやめになっていたが、久々に戻ってきた“大阪夏の風物詩”。天気に恵まれたこの日、川沿いにはたくさんの歌舞伎ファンが集まり、拍手と紙吹雪で俳優陣を乗せた船を迎えた。

船乗り込み終了後には、大阪松竹座で式典が行われた。

6年ぶりに大阪松竹座の舞台に立つ中村勘九郎は「船乗り込みは父の襲名以来17年ぶりだったので、本当に懐かしくうれしく思いました。ご声援はなかったんですが、拍手、お手ふりを力に変えて努めていきます」と意気込んだ。

体調不良のために当面の間休演することを28日に発表した片岡仁左衛門の姿はなかったが、仁左衛門の孫にあたる片岡千之助がコメント。

「まだ(復帰の)めどは立っていませんが、この期間中には戻るという言葉を本人から聞きました。祖父がいない舞台はさみしさもありますが、安心して戻って来てくれるように精進していく」と仁左衛門の復帰の意思とともに、自身の決意を表明した。

船乗り込みとは、江戸時代から大阪で行われていた恒例行事。歌舞伎俳優が興行地に到着したときに開催したとされている。

儀式には松本幸四郎、中村七之助ら「七月大歌舞伎」に出演する役者が出席。約20分間の道頓堀川クルージングを行い、夏の道頓堀を盛り上げた。