16年「君の名は。」や19年「天気の子」で知られる、新海誠監督(49)の新作アニメ映画「すずめの戸締まり」のヒロイン・岩戸鈴芽役を、女優原菜乃華(18)が演じることが4日、分かった。1700人超のオーディション参加者の全ての声を聴いた新海監督から、最終選考と称したサプライズで直接、決定を告げられた原は、号泣しつつも「頑張ります!」と力強く宣言した。また、公開日が11月11日に決定した。

原は、今回がアニメの声優に初挑戦となる。「今も、まだ夢なんじゃないかと気持ちが落ち着きません。中学1年生の夏、新海監督の作品を初めて映画館で見た時の、あの一生忘れることの出来ない胸が震えるような感動を、まさか自分が届ける側になるなんて、全く実感が湧きません」と、以前から新海監督の作品が大好きだったと明かした。その上で「でも何か、ものすごいことが動き始めたような感覚に、今は目の前がキラキラ輝いています」と熱っぽく語った。

原が演じる鈴芽は、九州の静かな町で叔母と2人で暮らす17歳の女子高校生。広大な廃虚の中、幼い自分が草原をさまよい歩く不思議な夢をよく見る少女という役どころだ。そんな、すずめが日本各地の廃虚を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく、すずめの解放と成長を描いた現代の冒険物語となる。原は「『すずめの戸締まり』は、今の世の中で少しずつ薄れてしまった、人と人とのつながりや温かさ、本当に大切なものに気づかせてくれる物語だと思います。映画館を出た時、目に映る全てが前より鮮明に輝くような、自分の周りの人達も、自分の事も、大切にしたいと思えるようなすてきな作品です」と作品について語った。

新海監督は、原を抜てきした理由について「感情と声の距離が、誰よりも近い。それが原菜乃華さんの稀有(けう)な才能だと思います」と説明。その上で「分厚い雲が吹き払われた瞬間のような、まぶしくて鮮やかな感情を、原さんならば、すずめにたっぷりと与えてくれるはずです。それが今から楽しみでなりません」と原に大きな期待を寄せた。

新海監督からの期待の声に、原は「新海監督作品の大ファンであるが故に、不安やプレッシャーも大きいですが、監督はじめスタッフキャストの皆さまと一緒に、岩戸鈴芽として、喜び、怒り、悲しみ、楽しみ、たくさん悩み考え、成長していけたらと思っています」と抱負を口にした。

◆原菜乃華(はら・なのか)2003年(平15)8月26日、東京都生まれ。近年の主な出演作は、19年の日本テレビ系ドラマ「真犯人フラグ」、21年のフジテレビ系ドラマ「ナイト・ドクター」、今年の同系「ナンバMG5」。映画では、20年「罪の声」や21年「胸が鳴るのは君のせい」など。

◆「すずめの戸締まり」 九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(原)は「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。彼の後を追うすずめが山中の廃虚で見つけたのは、まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…迷い込んだ、その場所には全ての時間が溶け合ったような空があった。やがて、日本各地で次々と扉が開き始め、その向こう側から災いが訪れてしまうため、開いた扉は閉めなければいけないのだという。不思議な扉に導かれた、すずめの“戸締まりの旅”が始まる。