アニメ「ルパン三世」の次元大介役などで知られる声優の小林清志(こばやし・きよし)さんが7月30日、肺炎のため死去した。8日、所属事務所が発表した。

小林さんが半世紀にわたって務めてきたルパンの仲間、次元役として最後に作品に出演したのは、昨年10月9日深夜放送の日本テレビ系「ルパン三世 PART6」(土曜深夜0時55分)の初回「EPISODE0-時代-」だった。

冒頭、ルパン、石川五ェ門とともに牢屋(ろうや)の壁にもたれかかった、小林さん演じる次元が「とうとうオレも潮時かもしれねえな」というセリフで物語がスタート。ルパンが「どうした次元? いつになくセンチメンタルじゃねえか」と尋ねると、次元は「なんだか相棒との人生を振り返っちまったよ」とひとこと。“相棒”とは結局、押収された拳銃のことだったが、小林さんの最後の花道を飾る、粋なセリフで始まった。

次元はその後も「つまらねえ時代から一抜けだ」など、泥棒稼業“卒業”を示唆するセリフを連発。しかし、ルパンと酒を飲む場面では、「時代が変わっちまっても変わらない味がある。そうだろ次元」とルパンから問いかけられ「ああ、そうだな」。さらに峰不二子から「ルパンみたいな男と、これだけ長い間ずっと一緒にいられる変人なんて、あなたぐらいのものよ」と声をかけられた次元は「ただのくされ縁だ」と言いながら、「ま、振り返ってみりゃ、ずいぶんと長く付き合ってきたが、後悔したことは一度もねえよ」と、小林さんの歩みを重ねるような言葉を発した。

ストーリーの最後は、ルパンの「またうまい酒を飲もうぜ、次元」という言葉の後、小林さんの名前が刻まれたエンドロールと、次元の笑顔のカットで締められた。

同シリーズは翌週「EPISODE 1」からスタート。「0」は卒業する小林さんをねぎらう演出にあふれた回となっていた。

小林さんは71年のアニメシリーズスタート時から次元役を務め、後任は大塚明夫が引き継いだ。大塚の父・周夫さんは五ェ門の声の初代を演じており、父子2代での出演となった。メインキャストであるルパン、次元、五ェ門、峰不二子、銭形警部の中で、小林さんだけが、昨年10月の時点まで代替わりせず、次元の声を演じ続けていた。