今日19日に80歳の誕生日を迎えた松本白鸚が来年4月、ミュージカル「ラ・マンチャの男」(同14~24日、よこすか芸術劇場)のファイナル公演に挑むことが決まった。今年2月の公演がファイナルになるはずだったが、新型コロナウイルスの影響で全25回の上演日程は、千秋楽を含め18回が中止になった。

ファイナル公演の復活に白鸚は「生涯で一番うれしい誕生日になりました。初演は26歳、ブロードウェーに行ったのは27歳でした。それから53年…。万感の思いです。前回中止の時、劇場まで足をお運びくださったお客様のため、『ラ・マンチャの男』の火を、今日までともし続けてくださった皆様のため、初日から千秋楽まで一生懸命つとめるつもりです」とのコメントを発表した。

復活公演の発表リリースには「公演中止を『あるがままの現実』として受けとめつつ、未来に向かって『あるべき姿のために戦う』ことが公演関係者にとって共通するテーマ」とある。キャストのスケジュール、劇場の確保などさまざまな困難が伴ったが、松たか子、上條恒彦、駒田一ら2月に出演したキャストがほぼそろった。ほか伊原剛志が初参加する。

獄中の劇作家セルバンテスが劇中劇を繰り広げる。遍歴の騎士ドン・キホーテが見果てぬ夢を追い求める物語は、白鸚自身が「自分の生き方と作品のテーマが一緒になっている」とも話している。今回、無事に公演が進めば上演回数は10回積み上がり、通算1324回になる。

◆ラ・マンチャの男 16世紀末のスペインが舞台。宗教裁判を待つ劇作家セルバンテスが、獄中で即興劇による申し開きを求める。囚人全員を配した劇中劇は、アロンソ・キハーナという老人が、遍歴の騎士ドン・キホーテとして悪を滅ぼす旅に出る物語。キホーテは、宿屋で会ったアルドンザをあこがれの麗しの姫だと思い込み、身をささげる決意をする。69年、当時染五郎の白鸚が主演し日本初演。翌70年、ブロードウェーの招待を受けた。