1991年(平3)の設立以来、映画作りにこだわる芸能事務所ディケイドが、設立30周年記念映画「ゆめのまにまに」を製作し、11月12日から東京・ユーロスペースほか、全国で順次公開が決定したと26日、発表した。「メンズノンノ」専属モデルとしてデビューし、今年結成したフォーク・バンド「酔蕩天使」でリードボーカルを務める、俳優でフォークシンガーの、こだまたいち(31)が映画初主演。東京・浅草六区に実在する古物店「東京蛍堂」を舞台に、人と時間が交差していく日々を描く。こだまのほか千國めぐみ(34)三浦誠己(46)中村優子(47)村上淳(49)ら同社所属俳優が出演し、こだまが歌う主題歌「サンローゼ」(11月9日配信)もHILLS RECORDSからリリースされる。

「ゆめのまにまに」は、多摩美大造形表現学部卒業後、助監督として横浜聡子監督、菊地健雄監督、瀬々敬久監督、越川道夫監督、岨手由貴子監督など多数の作品に参加してきた、張元香織監督の長編監督2作目で、脚本も担当。古物店「東京蛍堂」で、不在がちな店主・和郎(村上)に代わり、毎日店番をするアルバイトのマコト(こだま)は、客足が遠のいて久しい店には、それでも毎日のように誰かしら人が出入りする中、夏の終わりのある日、店にやってきた訳ありそうな一人の女性・真悠子(千國)に目がとまる。店主に会いに来たようだが、避けているようにも見え、何を物色するでもなく、ふらりと現れては、ふらりと店を去る。マコトは次第に、毎日足しげく店に通うその彼女のことが気になり始める物語。

出演俳優、監督がコメントを発表した。

こだまたいち 今回のお話を頂いた当初、張り切るあまり撮影地である浅草六区・東京蛍堂を中心としたありとあらゆる道をゆき、何時間も何十周もせりふを唱え…初主演のプレッシャーと興奮をマーキングしながら歩き回っていました。張元監督が作品の根底にあるテーマ性や人物像を丁寧にひもときながら、穏やかに熱心に肩をほぐすような話し合いを重ねてくださったおかげで、緊張していた自分も徐々に静かな集中力をもって臨めるようになりました。同世代や下の世代の新人俳優の皆さんと切磋琢磨(せっさたくま)しながら撮影に向かっていけたこと、現場で先輩方の胸を借りながらお芝居の楽しさに改めて気づけた事、その経験は宝物です。1991年3月、ディケイド設立と時を同じくして生を受けた自分も、同様に節目の年を迎えました。十分な過去も、十分な未来もあります。その中で続けていく事、大事に育んでいく事、何を手に入れ何を手放すか、その選択は執着ではなく愛着によるものなのだという浪漫が、今作の最大のテーマの1つとしてスクリーンに映っていると僕は信じています。

千國めぐみ 浅草で蒸籠(せいろ)を転がしたことがあります。買ったのを包んだ風呂敷の結び目が解けてしまって、落ちてゴロゴロ転がってしまったのです。大慌てでしたが、地元の人たちが蒸籠(せいろ)は珍しいな、と笑いながら拾い集めてくれました。そうか、浅草の人たちはここを訪れた人間のいろんな瞬間を見てきているのだ。そう思いました。それこそ、解けたり転がったり、人間のいろいろな様を。初めて蛍堂を訪れた帰り道でのことです。7月5日、私の誕生日でした。この映画の、人間の、時たまおかしくもある営み、その人間と共に過ごした古物たちが吐く濃密な空気、それらを包む浅草という街をつくる人々の様は、皆さんの目にはどう映るのでしょう。ビールを飲み飲み、おしゃべりしたい気持ちです。

中村優子 蛍堂は、混沌(こんとん)とした浅草の一角にひっそりと在る。異世界への、入り口のように。足を踏み入れる登場人物たちを待つのは、圧倒的なモノ、モノ、モノ。時間や物語を経て、ただ、そこに存在するモノとの邂逅(かいこう)。大切にされたモノには、大切にした誰かの人生がある。モノに見つめられる時、私たちは、心もとない自分自身の人生を、やはり、大切にしたいのかもしれない。

村上淳 よく若いころに絶大な信頼をしている人生の大先輩にこう言われた。“才能は常に意識しなければすぐに斬れ味が落ちる。センスは良いとか悪いじゃない、あるかないかだ。"僕がこの作品の完成を見たときに強く思い返した言葉です。張元監督とは初対面ですし、作品に出演するのも演出を受けたのももちろん初です。現場単位での体感で“いい現場”だな=で必ずしも“素晴らしい作品”にはならないことも多くあるのですが、非常に素晴らしい現場でしたし、なりよりこの初号試写を観た後、数カ月は“この作品の素晴らしさの記憶”を書き換えたくなくて新しい映画を見ませんでした。わが社DECADEは押し売りするような大きな体制もなく、つつましく謙虚に業界の隅のほうでやらせていただいている事務所ですが、こうして胸をはれる作品を素晴らしい監督・座組・キャストでやれたことのありがたさを肝に銘じて、またさらに映画にまい進したいと思います。みなさま、もしよろしければ"新しい才能"もしくは"素晴らしい才能"が惜しみなく投影されるスクリーン体験をぜひに。

張元香織監督 理由もなく引かれる、直感的にいいと思う、好きで欲しくてそばに置きたい、頭から離れず夜も眠れない! そんな強い感情について、私はよく考えます。それは時には行き過ぎたり偏ったり、まさに人を盲目にする感情のことです。そんな感情はどこから来てどこへ行くのか。その思考のテーマは、古物店を舞台にすることで、映画の世界観にぴったりとはまりました。あとは、そこから受け取ったものを、流れの随(まにま)に、脚本に描いていきました。

東京蛍堂のような古物店は、モノだけでなくさまざまな色濃い感情エネルギーが集まり、とどまり、放出される場所なのです。皆さんにこの映画を見てもらえること、とても楽しみにしています。

◆ディケイド 村上淳、山本浩司、三浦誠己、テイ龍進、渋川清彦、大西信満、中村優子、渡辺真起子、浦浜アリサ、村上虹郎、大橋トリオといった俳優、モデル・アーティストが所属する芸能事務所。91年3月に設立、俳優や音楽家のマネジメント会社であるとともに、映像や音楽の企画制作も行う。創業20周年を迎えた11年から5年に1度、佐伯真吾代表取締役を中心に社で企画し、所属俳優、スタッフが一丸となって参加できる映画を製作。11年に製作した設立記念映画「Playback」(三宅唱監督)はロカルノ映画祭コンペティション部門出品。17年には「AMY SAID エイミー セッド」(村本太志監督)を公開。