あき竹城さんが亡くなった。日劇ミュージックホール出身のコメディエンヌ。バストとお尻をフリフリしてお色気を振りまきながら、しっかり笑いを取る。山形弁で笑わせ、ホロリとさせる芸達者な女優さん。

そんなイメージだったあきさんがスケールアップしたのが、1983年(昭58)にカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた、巨匠・今村昌平監督の映画「楢山節考」だった。親捨てという重いテーマを描く作品。主演の坂本スミ子は前歯を削り捨てられる年老いた母親を演じた。緒形拳演じる親を捨てる息子に、他の村から嫁いできた後妻をあきさんが演じた。重いテーマの中でのからりとした芝居に、その肉体の存在感で新境地を見せつけた。

85年に海水浴場で飲酒して、44歳で溺れ死んだコメディアンのたこ八郎さんをかわいがった。年上だったが子供のように純粋で、プロボクサー時代の後遺症で言葉がもつれたたこさんの面倒を見ていた。男女の仲もうわさされたが、清い仲だったという。

近年は「秘密のケンミンSHOW」「炎の体育会TV」などで、若いタレントやアスリートと絡んだ。大御所然としていい存在なのに、気さくで番組をなごませ、活気づけた。ご冥福をお祈りします。【小谷野俊哉】

◆あき竹城(たけじょう)1947年(昭22)4月4日、山形県米沢市生まれ。中学卒業後に大阪でダンサーになり、その後上京。ダンスショーの合間のコントで人気になり、映像の世界へ。映画は「男はつらいよ 寅次郎かもめ歌」「楢山節考」「スーパーの女」「マルタイの女」「小さいおうち」など、ドラマは「家なき子2」「吉宗」「私の青空」など。バラエティーは、テレビ朝日系「しくじり先生 俺みたいになるな!!」の生徒役など。