秋元康氏が総合プロデュースする劇団4ドル50セントの安倍乙(あべ・おと=22)と田中音江(たなか・おとえ=21)の「乙×音」コンビがこのほどインタビューに応じ、今月8日からシアター・アルファ東京で上演する第3回本公演「ほどよく洒落たチョコレート」への意気込みや、バレンタインのほろ苦い? 思い出を明かした。

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-今回の本公演はバレンタインにまつわる3つのオムニバスストーリーです

安倍 3作ともコメディーです。私が出る作品は、デパ地下が舞台のラブコメになっていて。劇団旗揚げ6年目にして初のラブコメ。劇団には男性劇団員もいるんですけど、今まで仲間として見てきたので、恋愛対象で見たことがなかったので新鮮です。(共演する)内田(航)くんのファンの方々に怒られそうでちょっと心配です…(笑い)。

田中 私が出る作品は、動物病院が舞台です。ラブコメ的要素もあるかもしれないんですけど、それが「ラブ」なのか「ライク」なのか…。楽しみにしていていただきたいです。

-役どころは

安倍 私は「嫌な女」です。でも典型的なあからさまに嫌な人ではなくて、こう見てる人がつい「こいつ嫌やな~」って思うような女性なので、すごく難しいです。脚本を書いてくださった岸本鮎佳さんは、普段からすごい人間観察してるんだろな、って思います。

田中 私は、動物病院にいる男の子が1人だけで、好きというか、慕っているというか。でもツンデレしちゃうっていう感じの役です。相手に悟られないようにしながらも、見ているお客さんには好きっていうのが伝わるようにしなきゃいけないので、難しいですね。

-17年8月の旗揚げから安倍さんたち1期生が活動を続け、21年12月から田中さんたち2期生が加わりました

安倍 1期生もみんなクセが強いんですけど、2期生も結構“クセ強”集団なので。音江ちゃんも一見まともそうなのに、結構芸術家思考っていうか。普段からすごい妄想してるんですよ。

田中 ええ~?(笑い)

安倍 だからある意味バランス保てているのかなって思います。新しいアイデアとか生まれたり。意思疎通がうまくとれない時は、冷静な岡田帆乃佳とかが間に入ってくれて、まとめてくれています。

田中 去年は定期イベントとかも結構あったので、仲が深まったと思います。

-今回の本公演に向けては昨年初のクラウドファンディングを実施。開始直後に目標金額を達成しました

安倍 すごくありがたいです。まさかあんなに早く集まるとは本当に思っていなかったので、驚きと感謝でいっぱいです。もっと頑張ろうという、モチベーションが上がるきっかけになりました。2期生も入ってきて、ファンの方たちも、今回の公演にすごく期待しているんだなっていうのが伝わってきます。

田中 あらためて、ファンの方々がいるから舞台ができるんだなっていうのを感じました。下世話な話ですけど、やっぱりお金がないといろいろとできないこともあるし、支えていただいているのは本当に感謝がめちゃくちゃ大きいです。その分、めっちゃお返ししなきゃいけないなっていう覚悟が決まりました。背筋が伸びましたね。

安倍 やっぱり劇団としてデビューしているので、演技でお返ししなきゃいけないなって思いますし。コロナ禍で直接見に来られる機会が減ってしまった分、今回はオムニバスなので3つのチームそれぞれの作品を楽しんでいただきたいです。

-見に来る方々へのバレンタインプレゼントのような公演になるかもしれませんね。上演期間は8日から12日までですが、バレンタイン前に劇団内でチョコを配ったりするんですか

安倍 全然する予定はなかったです(笑い)。

田中 はい…(笑い)。

-ご自身のバレンタインの思い出は

安倍 私は小中高と、誰かと付き合いたいっていう気持ちも特になくて。好きな人とかもあまりいなかったんですけど、やっぱり「友チョコ」を渡す文化はありました。トリュフを作って学校に行った時、形をキープするのが大変で、かばんの中で結構シャッフルされちゃって。友達に渡す時に、なんかべっちゃべちゃのえたいの知れない茶色い物体みたいなものが出てきて、ドン引きされたのを覚えています(笑い)。

田中 私も失敗談ばかりです。チョコレートの湯煎(ゆせん)をしているのに、なぜかどんどん固まっていっちゃって。乙さんに聞いたら、多分水を入れたせいらしいんですけど。もうカッチカチの丸い物体になって。結局、その年はバラバラにした板チョコをくっつけただけのやつしか作れませんでした。今年は舞台をちゃんと成功させます(笑い)。

-新劇団員&劇団育成生募集オーディションも1月まで開催されました。既に個々で活躍している劇団員も多いですが、「ほどよく洒落たチョコレート」で2023年の劇団全体が本格始動します

安倍 やっぱりまずはクラウドファンディングの恩返しも含めて、気合入れて頑張りたいです。

田中 今回オムニバスでいろんなお話があって、そのストーリー自体がつながっているわけではないんですよ。ただ、それぞれがバトンを渡すじゃないですけど、熱量はどんどん(次の作品に)伝えられると思うので。一緒に1つの舞台を作り上げるような気持ちです。

-今回は「関東以外在住」「高校生以下」などの条件を1つでも満たしていれば購入可能な料金450円の座席「4ドル50セントシート」も設けられます

田中 クラウドファンディングでご支援いただいたおかげです! たくさんの条件があるので、たくさんの方に見に来てほしいです!