フジテレビの“ミタパン”こと三田友梨佳アナウンサー(35)が3月いっぱいで退社することが発表された。

個人的には、非常に寂しい。2015年に女性アナウンサーの連載「アナ姫」、19年には日曜付のインタビュー面「日曜日のヒロイン」に登場してもらい、じっくり話を聞かせていただいた。女性アナをタレントのように取り上げることを生業としている記者だが、三田アナの真摯(しんし)な仕事ぶり、話しぶりには、いつも感銘を受けてきた。

父親は三田芳裕明治座社長(71)、母親は老舗の料亭・玄冶店濱田家の女将(おかみ)さんという名門の生まれ。青学大時代は公式野球部のマネジャーを務め、神宮球場で六大学野球の場内アナウンスも経験。成績優秀で表彰もされている。

11年4月にフジテレビに入社して、エース候補が命名されるパンシリーズ7代目のミタパンを“襲名”。情報番組、バラエティーで活躍、15年に始まった情報番組「直撃LIVEグッディ!」で安藤優子キャスターの薫陶を受けた。

19年からは夜の報道番組「FNN Live Newsα」と日曜の「Mr.サンデー」のキャスターに就任。選挙や安倍元首相国葬の特番でも活躍していた。20年1月には結婚して、公私ともに順調なアナウンサー人生を歩んでいると思っていた。

だが、昨年5月に初の生放送で行われた「ツギクル芸人グランプリ2022」の取材に行った時に、三田アナウンサーの姿を見てびっくりした。顔色が悪く、明らかに体調が悪そうだったのだ。

週に3日になったとはいえ、夜の報道番組の生放送。そして、日曜は生放送で「Mr.サンデー」で、あの宮根誠司キャスター(59)を相手にしている。そこへ、生のバラエティーだ。「ツギクル-」では進行を担当していたが、MCが爆笑問題。案の定、太田光(57)が生放送でギリギリの大ボケを放って、結局は大きな笑いにつながったのだが三田アナは疲れただろう(笑い)。

顔見知りの番組関係者に「報道番組から生のお笑い番組じゃ、ミタパンが大変だろう」と指摘したら「他に誰がいるんだ」と反論された。同番組はフジテレビと、有力芸能事務所の団体である日本音楽事業者協会が主催。局としても、相当力を入れていた。

カトパンこと加藤綾子アナウンサー(37)が16年に退社してフリーになってから、ミタパンとともに頑張ってきたヤマサキパンこと山崎夕貴アナウンサー(35)は、始まったばかりの昼帯番組「ポップUP!」が爆死したばかり。次期エースの宮司愛海アナウンサー(31)は報道の修業を始めたばかりだったから、他に選択の余地はなかったのだろう。

今回の退社発表で、三田アナも落ち着いて出産、子育てに専念できそうだ。昨年4月に7年ぶりに復帰した遠藤玲子アナウンサー(40)の例があるように、フジテレビは女性の産休、育児に大きな理解がある。だが、まずは退社を選んだということだ。

そして、気の早い向きには出産、子育てが落ち着いてから仕事復帰、争奪戦が始まるなどと報道されている。でも“フリーアナ”というタレント活動には戻らないのではないか。お母さんの後を継いで「玄冶店濱田家」の女将さんもいいかと。そして、将来的には森光子さん、寺島純子さん(現・富司純子)がやっていた同局「3時のあなた」のような昼のワイドショーのゆったりした司会が似合うのではと思う。

三田アナ以外にも朝日放送のヒロド歩美アナウンサー(31)が今春の退社を発表。テレビ東京の森香澄アナウンサー(27)も、今春退社の意向であることが報じられた。

ヒロドアナは「サンデーLIVE!!」のサブキャスターと夏の「熱闘甲子園」の司会でおなじみ。森アナは「THEカラオケ★バトル」や「ウイニング競馬」の司会を務め、インスタグラムのフォロワーが37万超えのアイドルチックな人気者。いずれも局を代表するアナウンサーだ。

だが、基本は会社員。人事異動もあるし、いつまでもアナウンサーとして活躍できる保証もない。機を逃さずに退社、フリーを選ぶ勇気を応援していきたい。