俳優・藤原季節(30)のデビュー10周年記念特集上映が8日、東京・テアトル新宿でスタートし、18年に撮影した未発表&初主演作「東京ランドマーク」(林知亜季監督)が上映された。
藤原は上映後の檀上で、特集上映でセレクトされた10作品の中でも「東京ランドマーク」は特別な作品だと語った。
「商業映画がラインアップされている中で、初日に、全く何者でもない素っ裸の自分をお見せするというのが、すごいことだなと思って。1番、根っこの部分にある自分を見てもらった気がします」
藤原は、8月23日に初のパーソナルブック「めぐるきせつ」を出版した。本格的に俳優活動をスタートさせた20歳から現在までの俳優人生で経験した話を中心に、幼いころのこと、俳優になるまでの道のりなど、約10万字にわたり自ら書き下ろした。その中で「東京ランドマーク」の企画の経緯、過程にも触れている。
「東京ランドマーク」は、コンビニでアルバイトしながら東京で淡々と1人暮らしをする藤原演じる25歳の楠稔と、ニートで同い年の稔の家に遊びに行く義山真司演じる小田岳広の日々を描く。実際に藤原と義山も同い年で。20歳の時に新宿歌舞伎町の劇場で出会った友人だ。その2人が、25際だった18年にダブル主演の映画を作ろうと、林知亜季監督と3人で企画をスタート。ドキュメンタリー制作者でもある同監督に、2人の関係性や生い立ち、家族関係などを話し、2人を当て書きする形でフィクションの物語を作った。それから5年を経て、ついに劇場での上映にこぎ着けた。
義山は「撮るきっかけになったのが、季節と林さんとの関係性で、友達関係、家族間の話を僕らの当てが気にして撮った経緯があった。温かさ…そういう良さが伝わっていれば良いなと、すごく思いました」と説明した。藤原も「あるシチュエーションを、そのまま撮ることが多かった。筋書きはあるけど、せりふがないというのが多くて。(演じた)稔の家も実際、僕が住んでいた家を使っていたり(義山演じる)岳の家もね。だんだん、カメラがあることすら忘れた」と振り返った。
劇中には、ある計画のために5万円を工面しなければならず、稔が折半を提案するものの、ニートの岳広は数千円しか持っていないというシーンがある。藤原が「本当に、いくら持ってるの? みたいな感じで、言い合いになった。当時3000円くらいしか持っていなかった」と振り返った。義山も「当時、僕は本当に働いてなくて。お財布に1日、500円しか持っていない日もある中、撮ったシーンだった。季節に『お前、いくら持ってるの?』と言われた時、本当に傷つきながら『本当に持っていない』と、恥ずかしい気持ちになりながら」と振り返った。
藤原は「当時の自分たちにしか撮れないシーンがあって、特別な思い入れがある。自分のふるさと(札幌)でも撮った。原点的なものを感じる」と感慨深げに語った。その上で「最初の編集版が3時間以上、あった作品を4、5年かけて削って…思いがこもっている。」と林監督に感謝した。
出演した大西信満(48)は「これ、撮ったのは5年前。季節君は、どんどん主演作が公開されているけれど、時系列としてはその前で主演したことがなかった。この現場がなかったら、その後の活躍がないといえるくらい、みんなで頑張った」と振り返った。さらに「季節君と真司君、半泣きでこの映画の思い、話していた」と明かすと、藤原は「あったなぁ。飲みに連れて行ってもらった。その時は、すみませんでした」と謝った。
藤原は、舞台あいさつの最後に「今日、台風で、どうなるかなと思ったんですけど、皆さん、来ていただいて本当にありがとうございます」と観客に感謝した。その上で「自分たちも、どこまで持っていけるか分からないんですけど、出来たら全国に持っていきたいんですよ。素の自分とか、日記みたいな映画が全国の人に届いたら、それは、それで豊かなことなんじゃないかと思う。東京の映画館でも、またかかったらいい」と熱く語った。【村上幸将】



