2012年(平24)に東京・新宿の路上で交通事故に遭い、76歳で亡くなった若松孝二監督をしのぶ、毎年恒例となった「若松孝二監督命日上映」が17日、東京・テアトル新宿で行われた。

この日は、18年の映画「止められるか、俺たちを」(白石和彌監督)の続編「青春ジャック止められるか、俺たちを2」(井上淳一監督、24年3月15日公開)が特別先行上映された。

劇中で、前作に引き続き若松監督本人を演じた主演の井浦新(49)は上映後、観客に「監督が映画を作りたいと思ったら作れるものなんですけど…これは、もう、みんなで作る映画になりつつある」と、若松監督を愛するファンとともに作り上げる作品になりつつあると強調。「1、2が気に入っていただき、3が見たいという思いがあったら…ぜひ、来年の公開の時には、皆さまの協力とご支援をお願いします」と、早くも第3弾の製作に意欲を見せた。

「青春ジャック止められるか、俺たちを2」は、70年代の若松プロの黎明(れいめい)期に、映画を武器に激動の時代を走り抜ける若者たちを描いた「止められるか、俺たちを」から、10年後の80年代を描いた。ビデオが普及し始め、映画館から人々の足が遠のき始めた時代に逆行するように、若松孝二は名古屋にラテン語で「映画の学校」を意味するミニシアター「シネマスコーレ」を作る。支配人に抜てきされたのは、結婚を機に東京の文芸坐を辞め地元でビデオカメラのセールスマンをやっていた木全純治。シネマスコーレには、女性監督がほとんどいなかった時代に映画監督を目指すも「自分には撮りたいものなんか何もない」と言いながら、映画から離れられない金本法子がアルバイトとして入った。また田舎の映画青年だった井上淳一も通い始めた。そんな井上が、映画監督になりたい一心で若松プロの門をたたくも、己の才能のなさを嫌でも自覚させられたり、そんな井上に嫉妬心を抱く金本らの日々を描いた。

井浦をはじめ、木全純治役の東出昌大(35)金本法子役の芋生悠(25)若き日の井上監督を演じた杉田雷麟(20)劇中劇に出演した向里祐香(33)が登壇し上映前、後に登壇し、満席となった客席を前にトークを展開した。全員が、井上監督がプロデューサーを務め公開中の映画「福田村事件」(森達也監督)に出演しており、井浦は「『福田村事件2』いかがですか? 本当に、キャストが見事に『福田村事件』なんですよ…でも世界観はあって。東出君をはじめ、みな新しい風を吹かせてくれる」と笑った。

上映中に、井浦が演じる若松監督が怒るシーンなどが出てくると、客席から笑いが起きた。井浦は「僕は…本当に、ごめんなさいという感じです。映画ファンにも、若松監督にも…皆さん、笑いましたよね? 共犯者なので、皆さん、寿命が来て向こうの世界に行ったら若松監督に謝りましょう」と笑みを浮かべた。

井浦は退場時に「10月17日って若松監督が亡くなってから本当に迎えるのが嫌で涙しか出なかった。でも、皆さんのおかげで今日はいっぱい、笑いました。ありがとうございました。だんだん、この日を迎えるのが、メチャクチャ楽しみになっているのは、僕だけじゃないはずです。皆さんのおかげです」と観客に頭を下げて退場した。【村上幸将】