脳科学者の茂木健一郎氏が19日、自身のX(旧ツイッター)を更新。同氏が、ダウンタウン松本人志から言われた過去の発言を「根に持っている」と思っている人たちに対し”回答”した。
茂木氏は「ぼくが#松本人志 さんに茂木さんはお笑いのセンスがないと言われたことを未だに根に持っていると言ってくる方々へのご回答」と記し、その件について話した動画を添付した。
茂木氏は17年2月から3月にかけ、ツイッターで「日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終止し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン」「日本の『お笑い芸人』のメジャーだとか、大物とか言われている人たちは、国際水準のコメディアンとはかけ離れているし、本当に『終わっている』」などと私見を記述。
それに対し、この茂木氏の発言を取り上げた同3月のフジテレビ系「ワイドナショー」で、松本は「全然腹たたなかった」「茂木さんが全然面白くないから。笑いのセンスがまったくないから、この人に言われても『刺さらなねぇぜー』って感じ」などとコメントしていた。
約7年前のやりとりだが、茂木氏はこの日、Xに添付した動画で「松本人志さんにかつて、“笑いのセンスがないから、何を言っても響かない”みたいなことを言われたことを、”いまだに根に持っているんだろう”ということを時々言ってこられる方がいらっしゃるんですけれども」と切り出した。
そして「あれ確か、佐賀マラソンを走ってた時だったんだよな。『ワイドナショー』で、僕のツイッターですね。2017年だね、確か。”日本のお笑いは終わコン”と言った時にそれを番組で取り上げてくださって、松本さんが”茂木さんは別に笑いのセンスないから何を言っても響かない”っておっしゃった。(マラソを)ゴールした後にネットニュースか何かで見て、ちょっとガクッときたというか。悲しかったとかではなくて”おっ”というか、拍子抜けしたというか。そりゃ松本さんに”笑いのセンスがない”と言われたら、うれしいというよりは悲しいし。喜んだというよりはがっかりきたんだけど、だけどまあ、松本さんは当時も日本のお笑いのトップで、プロ中のプロですよね。僕はまあ笑いの素人じゃないですか。その素人に対してプロの方がね、同じ目線で”お笑いのセンスがない”と言ってきてることに対しては、すごく僕は”おっ”と、ちょっと当時驚いたんだと思います」と振り返った。
さらに「当時はすぐには整理つかないじゃない? 当然。でも”笑いのセンス”って単一じゃないしね。ただ、松本さんの笑いのセンスからすると、僕の批評とか言っていることのセンスはずれていると感じたんでしょうけど、それは松本さんの主観で、でもたまたま、松本さんが日本のお笑い界では”キング”というふうに扱われていたわけでしょ。だから”キング”が言うことだから”茂木の笑いはダメなんだ”と思われた方が多かったんでしょうね」と述べた。
続けて「その後2~3カ月たった時かな、佐賀を走ってたら、おじさんが自転車で来てわざわざとめてくださって”茂木さんが言っていることの方が正しいと思いますよ”って、(そのように)言ってくださった方もいらっしゃったんですよね。それくらい”笑い”というものに求められているものが違うと思うんですけど、それを根に持っているということは全くなくて。そういうふうに解釈する方がいるということは、前提になっている価値観があると思うんですね。僕が”松本さんに言われたことを根に持って、いまだに日本のお笑いや松本さんを批判しているんじゃないか”って言ってらっしゃる方々は、私情とか私怨というか、そういうので人間て動くっていう世界モデルを持ってるわけでしょ。僕はそうではないんで。僕は笑いとコメディーの差ということを、脳科学的に認知科学的に冷静に分析していると思っていて。そのことについてはもうすでに何回も書いてるところです」と説明した。
また「あれから月日が経ったわけなんですけど、今回こういうことになりまして、非常に残念に思うのはやっぱり、あのころから懸念してた、あのころ僕は日本のお笑いというのは同化圧力というか“芸人同士の忖度”とか、そういうものを面白いと思う人たちの集まり。だから日本の社会というのはそういうところなんでしょうけど、僕が”松本さんの言ったことをいまだに根に持っている”という思い込み、あるいはそこから僕のいろんな言論が出てきているって思ってることとつながってるわけだけれども、そこには”パブリック”というものがないんですね。日本のお笑いというのはパブリックがなくて、大きな世界というものがないんだよね。社会的なこととか差別とか偏見のこととか、国際情勢とか政治の問題とか、そういう大きなものっていうのは日本のお笑いは扱わないわけじゃない? そういうところとつながっているんだろうなって思いますよね」と話した。
「いまだに”松本さんの言ったことを根に持ってるんだろう”っていう方々は、お笑いってそういうものだと思ってるっていうことですね。人間関係で忖度して、お互いに笑ったり、先輩後輩だと言ったりとか、あるいはいろいろ先輩のために便宜を図ったりとか。今回の一連の報道で明らかになったのは、そういう日本のお笑いの構造だと思うんだよね。よく言われることは、松本さんとかダウンタウンのお笑いは出てきた時はすごく新鮮で、異議を唱えるようなもので、それが”王様”になってからダメになっていったというような言い方をする人が多いんですけど、僕はむしろ最初からダメだったんじゃないかなと思いますけどね。そういう忖度というか人間関係に根差した笑い? そこである種のシュールというかちょっと不条理というか新機軸はあったんでしょうけど、本質においてはむしろ、恫喝力というか仲間同士の忖度とかそういういう文法を強めていっちゃっただけなんじゃないかな、と思っています」と分析。「僕が松本人志さんに言われたことを根に持っていると思っているかたに対しての回答でございました」としめた。



