映画「唐獅子仮面/LION-GIRL」が、26日に公開された。「デビルマン」「マジンガーZ」「キューティーハニー」などで知られる巨匠・永井豪氏が描き下ろしたオリジナル漫画が原作だ。光武蔵人監督(50)聞いてみた。【小谷野俊哉】

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2004年(平16)に初の長編映画「Monsters Don’t Get to Cry(邦題:モンスターズ)」で監督デビューした。

「30歳になるまでに長編が撮れなかったら厳しいと思っていたんですが、29歳の時に幸いなことにインディペンデント(独立資本系)映画という形で。舞台劇だった脚本を映画化することができました。まぁ、初監督作品だったんで志だけは高くて、結構高尚な人間ドラマ。それで、めちゃくちゃ残酷シーンがあるという、不思議なハイブリッド作品を作ってしまったんです。特殊メークがガチガチの残酷描写が好きな人は人間ドラマ見ないし、人間ドラマが好きな人は特殊メークがバリバリの映画は観ないという。最大公約数で一番客がいないところの作品を作ってしまって、ちょっと失敗してしまったんです」

それでも、夢へ1歩踏み出した。

「おかげさまで29歳で、30歳までに長編映画を撮るっていう目標は実現できたので。そういう意味では、個人的には非常に今でも誇りに思ってる映画ではあるんですけど。でも、なかなか売れなかったんですね。でも、日本のビデオ配給会社さんが、その頃ヒットしてたのが密室のワンシチュエーションもののスリラーだったので『ワンシチュエーションスリラー』というジャンルを勝手に日本で作ってしまいまして。その中の1本として、レンタルビデオにあげてくださって、それで監督デビューとなりました。今から考えると、20年前ってレンタルビデオ全盛なんですよ」

この20年でメディア環境が劇的に変わった。配信で、スマホで映画が見られるようになり、レンタルビデオ店も姿を消しつつある。

「僕なんか特に、全然メジャーではないので、どうして低予算作品はアメリカだと、ほぼほぼ劇場にかからないんですよね。ハリウッドの層が厚いので、今まではビデオストレートという、そのままVHSだったり、DVDになるというのがありました。それがもう、今ではアメリカにも全くレンタル店がないので、配信ストレートになっているんです。なんて言うんですかね。DVDとかのフィジカルメディアとして発売されない映画が、やっぱりすごく多くなっています。ちょっと映画オタクとしては寂しいなと思ったりするんですけどね。また、映画が買えない時代になってしまったという気はしますね」

映画好きには見るのが好き以外にも、作品を所有するのが好きな人もいる。

「DVDとかが出た時、やっぱり人間って所有欲があるからDVDを買って持つっていうね。今ではなくなってしまった。僕みたいな映画オタクは、所有欲の固まりなので。手元に物として持てない映画だと、(気分が)上がらないんですよね。だからNetflixで面白い映画を見ても、自分自身の(所有物として)並べられないなと思うと、そんなに熱くならなかったりとか」

見る側だけではない。映画を提供する側も大きく変わった。

「やっぱり配信会社っていうのは、本的にIT企業なので。もうビジネススキが違うんですよね。映画を何本見たとかではなく、何時間アプリを開けてたかが勝負らしいので。そうすると1本で満足してしまう映画よりも、やっぱりシリーズだよねと、ダラダラと続くシリーズが欲しいみたいになる。だから、もう圧倒的に違いますね」

自宅はロサンゼルス。家族は奥さんと息子。

「ロサンゼルスがベースですが、妻のお母さんの具合が悪いので実家のあるヒューストンでケアして、ちょっと2拠点みたいな感じですね。ロスはコロナ後に渋滞もひどくなっていて、あとはやっぱ物価高ですよね。やっぱり円安と、コロナ後の物価高に結構翻弄(ほんろう)された部分があって。やはり厳しかったですね」

現在、50歳。映画監督になって20年が過ぎた。

「50歳にして、やっとこの作品で東映ビデオさんというメジャーと組めた。これからはインディーズを卒業というか、次のステップとして、より多くの人に見ていただけるメジャー作品に挑戦させていただければなという風に思ってますね。今回、永井豪先生と組ませていただいて、東映ビデオさんともできたので、ちょっとしばらくは日本にいて、日本で映画を作ってみたいなと思っています。それが今の目標です」。

(終わり)

 

◆光武蔵人(みつたけ・くらんど)1973年(昭48)5月24日、東京都生まれ。90年(平2)に米国の高校へ留学。サンフランシスコ芸大をへて、カリフォルニア芸大に転入。96年に学士号、98年に同大学院修士号取得。ロサンゼルスでテレビコーディネーション会社で働いた後、フリーのテレビディレクター、ラインプロデューサーなどとして働く。04年に映画「Monsters Don’t Get to Cry(邦題『モンスターズ』)」で長編監督デビュー。俳優活動も。09年に映画「サムライアベンジャー/復讐剣 盲狼」でファンタスティック映画祭の最優秀長編映画賞。13年に映画「女体銃 ガン・ウーマン/GUN WOMAN」でゆうばり国際ファンタスティック映画祭の審査員特別賞。ロサンゼルス在住。

 

▼映画「唐獅子仮面/LION-GIRL」 時代は2045年。謎の隕石(いんせき)がぶつかり、地球は陸地の99%を失い、人口は7000人になっていた。文明は滅び、わずかに残った日本の関東平野の東京に人々は暮らしていた。隕石から発せられる光を浴びて死ななかった人間は、アノロックと呼ばれる魔獣に変わってしまう。母親の胎内で光を浴びた人間はマン・アノロック(魔獣人間)と呼ばれる人間の理性と魔獣の能力を備えた存在となる。主人公の牡丹は、唐獅子仮面に変身して悪と対決する。災害、コロナ、バイオレンス、お色気、愛、任侠などのテーマがいくつも重なっている。