歴代最長の約55年間出演を続けた日本テレビ系演芸番組「笑点」(日曜午後5時半)を3月末で卒業する林家木久扇(86)が、今後も番組を支える同僚たちへメッセージを送った。

近年の番組では、一昨年に桂宮治(47)、昨年は春風亭一之輔(46)が新メンバーとして加入。今年の木久扇の卒業で、3年連続で入れ替えが行われることになる。木久扇は「ライフワークだった」と語った番組について「いろんなことを番組絡みでずっとやってきましたからね。でも、1人でやったわけではなくて、そういうチームにいた幸運がありますね」と仲間への感謝を口にした。

最も新しいメンバーである一之輔については「彼は投げやりな言葉の使い方をして冷たく笑いをとる。あれは大変賢い証拠で、頼りになります。もしかしたら将来は司会者になるんじゃないかというぐらいの思いです」とその実力を表現。宮治については「顔芸が面白い」といい「柳家金語楼師匠みたいな路線をいけば天下をとれるんじゃないかなと思います。濃いものを感じますね」とたたえた。

各メンバーのことをよく見ている。長く番組を共にした三遊亭好楽と三遊亭小遊三については「経験もある古い人だけど、枯れてきちゃっているんですよね。若い人が入ってきて、安心しちゃっているのかな。だけど、本当はもっと前に出てきて引っ張っていってもらいたいんですよね。小遊三さんは本当はテレビに映ることが嫌いで、普段は映らないようにしていた。そういう人をレギュラーにして、下ネタから作っていって。好楽さんはぼーっとしたタイプの老人スタイルだけど、もう一皮むけてもらいたい。面白いんだけどもね、もっとわーっとなるようなね」と愛のある意見を並べた。

自身の後任については、「私と同じような与太郎を演じてもらおうと考えたりせず、誰かかっこいい人に入ってもらえたら全然違う調味になる」と語った。「誰になるのかは知らないですし、自分はそこに立ち入る者ではないと思うんですよね。番組はずっと続くし、そのために選ぶ人は大事。予想もいろいろ出ていますけど、僕の思っている人と全然違う人が活字になったりしていて『ええ何で』っていつも思っていますね。本当に楽しみですね」。

「笑点」から“与太郎”がいなくなるかもしれない。木久扇は番組での自身のキャラクターについて「イジられる時は、しめたと思うんですよ。僕でウケてその場が活性化されれば商売的にコツンと当たったということなので。そういう意味ではエサになってですね」。実は若い頃から多彩で、絵の腕前はプロ級。漫画家として活動したり、絵本を出版したこともある。22年4月からは生まれた東京・日本橋のタウン誌「月刊 日本橋」の表紙絵も描いている。

画家としての活動について、「絵だけで月に100万円くらいもらったこともありますよ」と明かし「『笑点』がなくなっても絵画で全然カバーできそうですね」と冗談交じりに振ると「頻繁に(絵を)頼まれればね。描けないこともないし、新しい本も出そうと思っていますしね」と力強く口にしていた。

昔から何にでも興味を持つ性格だった。「下町の人間でね、本もいろんなものを手にとっていました。描くことも好きですし、落語も含め、いろいろなことをやってきたんですよね」と振り返り「パンにジャムもいいけど、バターをぬってのりを挟めば和風パンになるんじゃないかなとか。いろんなことに気がついて、まめったい。自宅に届く掲載紙が入った大きい封筒も、住所は切断してメモ用紙にしたりね。ペンで気がついたことを書き込むんですよ」と日々の日常も明かしてくれた。

「落語は落語で大好きだから」と卒業後も高座には出る。「まだ弟子がいるからね。お手本にならないと。なんだ『笑点』も卒業して全部辞めちゃったのかって言われちゃうからね」。ひとつの区切りにしっかりと向き合いつつ、これからもできることをこなしていく。【松尾幸之介】