「VIVANTのドラム」のイメージ通り、だった。

TBS系で昨年7月期に放送された連続ドラマで一躍ブレークした元大相撲力士の俳優富栄ドラム(31)。放送後初の故郷・神戸凱旋(がいせん)となる今月20日の「TBS日曜劇場『VIVANT』オーケストラコンサート」(神戸国際会館こくさいホール、昼夜2公演)に向け、インタビューした。角界から俳優に転身した決意、記者やファンに向けたサービス精神、いずれも劇中同様、優しく誠実な人格者だった。

ドラムは公演で、原作・脚本の福澤克雄氏、俳優迫田孝也とともにゲスト出演し、進行などを務める。今も「VIVANT」テーマ曲をヘッドホンで毎日聞く。「自分の演じてきたシーンが浮かんできて、やる気が出てくる」と、すっかり“人生のテーマソング”になった様子。先月10日の東京公演では、作曲・千住明氏の指揮によるフルオーケストラ演奏や、千住氏が楽曲について「天から降りてきた」と明かしたトークを堪能。「こんなすごいドラマに自分がいたんやな、と涙が出てきそうになった」としみじみ振り返った。

神戸公演のみに出演する迫田とは撮影・特番以来の再会となる。「撮影中もよくしゃべって、演技指導もしてもらいました。僕も初心者だから『どうやったらセリフって覚えられるんですか』とか、そういう話をしてもらいました」と心待ちにする。

福澤氏からは、今の人気に満足することのないようアドバイスされているという。「実力を早く付けて、役者として頑張れ、と言われている」とのゲキはしっかり届いており、ボイストレーニングやせりふ覚えなど俳優業、その鍛錬に打ち込む日々。昨年から休日はほぼゼロ、と笑いながら「もっともっと先を見てやっているので、毎日充実してます。これからの自分次第で変わると思うので、1日1日を大事にしています」と力強かった。

ドラマでは、阿部寛演じる公安部員の頼れる仲間として、身体を張って相手を止めるなど大柄なイメージの役だったが、力士としては小兵の部類に入る。同僚の相撲担当記者に聞くと“バック転”もできるスピードと瞬発力が持ち味だ。「身体能力的にもうちょっ動けるので、それを生かせる役もやりたい」。役の幅を広げることへも意欲をにじませる。さらに「僕としては『SASUKE』の第1ステージだったらクリアできるんじゃないかな、と思ってます。いつか出たいですね。小さいころから『SASUKE』ごっことか、やっていたんで」とニッコリ。スポーツアトラクションに挑戦する同局系年末の人気番組の名も口にするなど、サービス精神も心得ている。

今も週単位で番組イベント「ドラムに会いに行こう」を各地で継続し、ファンと交流している。堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、二宮和也、役所広司といった日本を代表するキャストがそろった大作に抜てきされ、放送から半年後の今や、ドラマの“顔”の1人となったサクセスストーリー。強運や偶然だけではなく、相撲などさまざまな経験、そして何より、努力と人柄が要因だったのは間違いない。先月の単発ドラマ「すっぴんヒーロー」では店員役を演じたが、次はどんな姿を見せてくれるだろう…。まさかの悪役か、はたまた「VIVANT」続編が実現し、頼れる「ドラム」がまた見られるのか。そして「SASUKE」にも? さらに大きくなっていきそうな今後が、本当に楽しみだ。【大井義明】