お笑いトリオのハナコが結成10周年を迎えた。この夏には、フジテレビ系の大型番組「FNS27時間テレビ2024」(7月20、21日)で総合MCの一翼という大役を担う。人気芸人の立ち位置を築くまでの歴史とは? 「10」年にかけ「10」のターニングポイントを挙げてください、というこちらのお題に、岡部大(35)秋山寛貴(32)菊田竜大(36)が柔軟に応じてくれた。【望月千草】
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結成4年で獲得した「キングオブコント」が1選目に来るかと思ったが、安直ではなかった。岡部は真っ先に「<1>菊田にハナコ加入を断られた」と口にした。先にコンビを組んでいた秋山と菊田の元に岡部が加わり、14年に「ハナコ」が誕生。序盤こそ険悪ムードもあったというが、今では「3人だとバランスよくできる」と口をそろえる。岡部は俳優、秋山は執筆業、菊田の個性的な立ち位置。おのおのが多彩な一面を持つ。
岡部 お互い同じ方向を向いていたら全員が一喜一憂してしまう。いっせいに沈むことがほとんどない。
“バラバラ”も強みだ。
お笑い界の大先輩たちとの交わりは、大きな刺激になった。秋山は「<8>志村けんさんにハナコのネタを見てもらう」と“コントの神様”との出会いを挙げた。
秋山 それがきっかけで「だいじょうぶだぁ」の特番(19年)に出演させてもらった。スタジオのセットを志村さんに引き連れられてまわらせてもらって「いいだろ、お前もやりたいだろ?」って。勝手に「頑張れよ」というバトンを渡されたような気持ちになりました。
菊田は10年を回顧し「こんなに飯食えてるなとは思わなかった」という。その中で苦い思い出を挙げた。「ワタナベの事務所ライブでMCを任されたんですけど、下手すぎて。お好み焼き屋さんの店内で会長や社長に本気で怒られましたね」と懐かしむ。
約20分で10個のターニングポイントを挙げてもらったが、10個だけではおさまらなかった。潮目を変えた出来事とするのが、21年から出演したフジテレビ系バラエティー番組「<11>新しいカギのレギュラー化」。一般の学生を巻き込み、校舎を使った「学校かくれんぼ」は人気コンテンツに定着。トリオの風向きも大きく変わった。
岡部 学生さんや幼稚園児の子に街中で「カギ見てます」「かくれんぼの人だ」って声かけてもらったり。
菊田 この前、ショッピングモールで結構年上の世代のご夫婦が「カギ見てます。いつも高いところで大変そうですね」って。めっちゃちゃんと見てくれていて、こんなに上の世代の人も見てくれていて「カギ」すごいなって思いました。
幅広い世代への「ハナコ」の浸透を実感する。
かつて、身内ライブでおぼつかないMCを繰り広げていた3人が、今夏は大型番組の“顔”となる。
菊田 「27時間テレビ」のテーマは「日本一楽しい学園祭」。学生さんももちろん、幅広い世代の方に見てほしい。
秋山 (ビート)たけしさんとか街を歩けないような人がやるイメージ。ぼくらは一若手。めちゃくちゃ街歩けますから。演出も同世代のチームでやるので、どうなるんだろうってすごい楽しみ。かくれんぼはスペシャルバージョンだと思うので見てほしいですね。いつもと一緒とはならないはず。
変わったこともあれば、変わらない姿もある。19年には菊田、20年に秋山、21年に岡部が結婚。今では全員が結婚し家庭を持った。
菊田 変わらないのは、昔お金がないときに食べていた納豆とウインナー。あと、ポテトチップスでご飯食べるのが大好き。これが一番ウマいなって。根本は変わらないです。
秋山 つい先週も事務所のロビーで、いろんな芸人仲間に「見た目が変わらなすぎる」って言われました。持ち物も服装も髪形も変わらないです。
岡部 秋山は結婚して服装が変わりましたよ。前は一年中同じ紺の短パンはいていたのに(笑い)。
とがったり、気取るようなそぶりも全くない。自然体で素朴な姿で、視聴者の日常に溶け込んでいる。
◆ハナコ 秋山寛貴(あきやま・ひろき)1991年(平3)9月20日、岡山県生まれ。岡部大(おかべ・だい)1989年(平元)5月30日、秋田県生まれ。菊田竜大(きくた・たつひろ)1987年(昭62)6月12日、千葉県生まれ。18年に「ワタナベお笑いNO・1決定戦」「第9回お笑いハーベスト大賞」「キングオブコント2018」優勝。フジテレビ系バラエティー「新しいカギ」(土曜午後8時)などに出演。
◆ハナコに影響を与えた出来事◆
<1>14年 菊田にハナコ加入を断られた(岡部)
<2>お笑いライブ主催者の「K-PRO」さんにお世話になる
秋山「ライブにいっぱい呼んでもらえるようになりました。ケータリングで残った飲み物とかおにぎりとかいただけたりするんですけど、菊田が在庫の段ボールから飲み物を持って帰ろうとしたところを2人で止めました」
<3>3カ月連続で単独ライブを開催
岡部「ネタをいっぱい作れた。勢いが付いた感じがします」
<4>結成1年後に「おもしろ荘」でテレビ初出演
菊田「スタジオの隅からナイナイさんを見た時の、あの衝撃が忘れられない。いまだに会うと、あの頃を思い出して身が引き締まります」
<5>16年 NHKBS「笑けずり シーズン2~コント編~」に出演
秋山「先輩芸人のシソンヌさんとかが先生役で、若手芸人が生徒として笑いを学ぶ番組。最近、先生たちとネタで戦わないといけない場面もあるのが、すごいうれしい。10年たった感はあるかもしれないです」
<6>ワタナベの事務所ライブでMCを任される
<7>17年「NHK新人お笑い大賞」で滑る
岡部「大阪の会場で西川きよし師匠に『なんで君たちは決勝来れたんや』って言われるくらい滑りました」
菊田「きよし師匠はジョークのつもりで言ったんですが、ぼくらが真面目に受け止めすぎてうまく返せなかった(笑い)」
秋山「あの顔はマジだったよ(笑い)」
岡部「来年がんばろうって火が付きました」
<8>志村けんさんにネタを見てもらう
<9>20年、岡部がNHK連続テレビ小説「エール」などに役者として出演
岡部「上の世代の人たちに名前が広まりました」
秋山「良い役でガッツリ出て、街中で役名で声をかけられたりしましたね」
<10>22年、テレビ朝日系「有吉クイズ」で秋山が痔(じ)の治療
秋山「5、6年くらい痔なのか、よくわからないものを抱えていて。番組内のアンケートがきっかけで、肛門科に行ったらすぐに手術することになって。結果、痔瘻(じろう)でした」
岡部「秋山のお尻はすごいきれいでハナコの武器。体を大事にしようと思えました」
<11>「新しいカギ」レギュラーになる



