先月末、ネットの誹謗(ひぼう)中傷から、世界的ロックバンドJOURNEYのボーカリスト、アーネル・ピネダ(57)が「脱退要望が多ければグループを永遠に去る」決意をし、SNS上でそれを問う事態が起きた。
JOURNEYというバンドを知らなくても、多くの方がその代表曲を1度は耳にしていると思う。なぜなら、TBS系WBCのテーマ曲「SEPARATE WAYS」が同バンドの曲だからだ。同曲は、記者がまだ中学生だった83年に発売されたアルバム「FRONTIERS」のヘッドライナー曲。WBCのテーマ曲となっているが、その詩の内容は、実は失恋ソングだったりするのだが…。
当時のボーカルはスティーブ・ペリーで、後に同バンドを脱退。その後も何人かが入れ替わりを繰り返す。バンドがボーカリストを探す中、YouTube上に同バンドのカバー動画をアップしていたフィリピン人のアーネルに白羽の矢がたったのは07年だった。
スティーブ・ペリーとそっくりなメタリックボイスは、当時日本でも話題になっていた。だが、まさかその後、正式加入するとは思いもしなかった。まさに“アメリカンドリーム”を手に入れたのだった。
アーネルの加入後、JOURNEYは再び世界ツアーを繰り返し、現在に至っている。この10月には来日公演も行うのだが、そんな中で起きた事態だった。
ブラジルで開催されたライブパフォーマンスへの誹謗(ひぼう)中傷がSNSで拡散されたのだ。それを見たアーネルは「では、ここで取引をしよう。僕は皆さんに(特に、僕のことを最初からずっと嫌っていた人たちに)チャンスを与えます。シンプルに『GO(去れ)』か『STAY(残れ)』を送ればいい。もし『GO』が100万件を超えたら、僕は永遠に去ります。では、始めましょう。最初の日から僕のことを信じてくれていたファンや友人の皆さんには改めて感謝します。皆さんに神の御加護を」と投稿したのだ。
結果的には、バンドにとどまることになる。そして「多くの人々が、ひきょうにも携帯電話やパソコンなどの後ろに隠れて、僕に対して憎悪、残酷さ、偏見、差別的、人種差別的な発言をしているのは明らかではないか? まあ、それは07年からずっと続いていることだけど…」(現在は削除)とし、「そんな中、善良な人々が僕に救いの手を差し伸べてくれた。僕の投稿を目にした途端、迅速かつ勇敢に。彼らの優しさ、誠実さ、そして貴重な時間を惜しみなくささげてくれた」と感謝を記し、また動画でもメッセージを発信したのだった。
芸能人に限らず、一般生活を送る我々も含め世の中では、SNS上の誹謗中傷からさまざま事態が発生している。攻撃性は人間が持つ一面かもしれない。でも、同時に相手のことを考える理性も兼ね備えているはず。ネットの匿名性が攻撃性を増しているとも言われるが、まだまだ人間は捨てたもんじゃないと信じたい。



