福岡を拠点に活動する2人組アコースティックロックユニット「チキンナゲッツ」にインタビューを行った。
ギター&ボーカル藤本成史とギター村田仁志で09年に結成。11年の大津いじめ自殺事件をきっかけに、「学校の先生の言葉以上に伝えられるものは歌。音楽でメッセージを伝えよう」と、福岡県内の小中学校を中心に、音楽を通じたいじめ撲滅講演会をスタートさせた。その後も老人ホームや介護施設等への訪問やメッセージソングの作曲を行い、音楽を通して福祉活動を行っている。
23年、医療的ケア児とその家族を歌った楽曲「ピピピとワハハ」を発表した。とある小学生の作文に書かれた実話をもとに作られた曲で、人工呼吸器の電子音「ピピピ」と家族の笑顔が重なる日常を表したタイトルとなっている。「作文を読んだ時に家族愛がすごく深いと感じた。バラードでお涙ちょうだいにするのではなく、明るい曲にしたかった」と藤本。医療的ケア児の家族は決してつらく苦しいわけではなく、明るく楽しく暮らしていることを強調した楽曲にしようと決意した。
歌詞の一部には「ピピピとワハハ 合わさる愛の音」「お鼻にチューブ 人工呼吸器 私達のような家族達キラキラしてた」など、わかりやすくまっすぐな言葉が並ぶ。その言葉が藤本の優しい声に乗り、リアルな描写ながら、柔らかで明るい曲に仕上がった。
訪問先の子どもたちと一緒に歌うことや、医療的ケアを必要とする子どもたちが笑顔で体を揺らす姿を目にすることも増えた。村田は「医療的ケア児が喜んでいるのを見るとうれしくて、涙が出てくる」と明かし、村田は「笑っている姿を見て我々も元気をもらっている。かわいそうじゃないということをこれからも発信したい」と話した。
チキンナゲッツが目指す未来は、「垣根のない人間関係」だ。村田は「こういう活動を始めてから、街中で気軽に人の手助けをできるようになった。スーパーで車いすのおばあちゃんにペットボトルを取ってあげたり、電車で席を譲ったり、今まで見過ごしてきたことでもちょっと意識するだけで変わる」と、小さなことからでも福祉活動は始められると語った。今後も垣根のない社会を目指し、明るくまっすぐなサウンドで笑顔を届ける。【野見山拓樹】



