高橋一生(45)が、俳優の利重剛(63)が13年「さよならドビュッシー」以来13年ぶりに手がける長編映画監督作「ラプソディ・ラプソディ」(5月1日公開)に主演することが29日、分かった。初共演した19年7月期のTBS系ドラマ「凪のお暇」で親子を演じており「かねてから尊敬していた利重さんに、利重さんが長年温めてこられた作品でお声がけいただき」と感謝した。利重とは劇中で叔父、おいの役どころで共演も果たす。
高橋が指摘したように「ラプソディ・ラプソディ」は、利重が着想から10年以上をかけて企画、脚本を練り上げた。95年「BeRLiN」以来31年ぶりに脚本から構築した、渾身(こんしん)のオリジナル作品となる。2人は「凪のお暇」のほか、20年7月期のフジテレビ系ドラマ「竜の道」でも共演しており、利重は、作品ごとに違う演技を見せる高橋の緻密な役作りと多才さにほれ込み、24年3月ごろにオファーした。
高橋は劇中で、人付き合いを避けながら生きて来た夏野幹夫を演じる。ある日、パスポート更新のため役所を訪れ、何げなく受け取った戸籍謄本を見ると全く身に覚えのない「続柄:妻」の文字があり「繁子」という名の女性に知らない間に籍を入れられていたことを知り、その日から繁子探しを始める役どころだ。「人と深く関わっていくことは、時に誰かや世界を変えてしまうことにもなり得る。幹夫は、それを極端に嫌がりながら生きている人物です。演じているうちに、登場人物たちと同じように、撮影期間中、ふと我に返ると、幹夫を守りたいと思っている自分がいることに気づきました」と、役にひとかたならぬ思いを抱いたと撮影を振り返った。
てんやわんやの末、幹夫が街角の小さな花屋で見つけ出したのは、触れるものを皆、壊してしまう破天荒すぎる女性だった。「なんで、僕と結婚したんですか?」と幹夫が抱いた好奇心は、やがて2人の人生に予想もしなかった変化をもたらしていく。高橋は「ただ、『こうしてあげたい』『こうしたら良いのに』という気持ちは、いつの間にか相手の上に立ってしまう危うさも含んでいて良かれと思うことが、かえっていろいろなことを固定して、誰かを弱い存在として扱ってしまうこともあるのだと、幹夫を通して考えさせられた気がしています」と続けた。そして「そんな気持ちの時は、大抵その対象より自分の方が劣っているものですが。とはいえ、不器用でも、滑稽でも、人は自分が見ている世界から、別の人間の世界に交わっていかなければならない。当たり前のことではありますが、その当たり前が、いつの間にか端折られてしまいがちな世の中で、幹夫の人生を一夏生きる間に、もう1度その感覚を丁寧に見つめる時間を過ごせた気がしています」と撮影を振り返った。
撮影は25年6月から1カ月間、利重の地元でもある横浜で行われ、横浜市中区の全面協力の元、実在のレストランやカフェ、店舗が劇中にそのまま登場する。高橋は「幹夫という人間を通して、初夏の横浜を過ごしました。誰にでもあったような感覚を、純粋に持ち続けてしまった不器用な人間同士が、表現の仕方は違いながらも、やさしい世界で出会っていく物語です」と横浜での撮影を踏まえて作品を評した。そして「全編横浜ロケでの撮影は、街の方々にもとても温かく受け入れていただきました。その空気も含めて、ぜひ劇場で、この時間を過ごしていただけたらうれしいです」と呼びかけた。
利重は監督として「僕は、映画館を出た後もまだ映画が続いているように感じる映画が大好きです。街を眺めながら、あの主人公たちはその後どうしてるかなと想像してもらえるような作品を目指して作りました」と製作の狙いを説明。高橋が演じる幹夫の、大介叔父さん役で出演もするが「『そう、たまにはこんな感じのものを見たかったんだよ』と言ってもらえるような作品になっていればうれしいです」と期待した。
繁子を呉城久美(39)が演じ、芹澤興人(45)と池脇千鶴(44)も出演。音楽を、日本を代表する世界的ジャズ・ピアニスト大西順子(58)が手がける。



