津軽弁の爆笑トークで知られる“元祖方言タレント”の伊奈かっぺい(78)は普段は故郷の青森を中心に活動しているが、3月8日に東京・有楽町のよみうりホールで、ライフワークにしている年に1度のトークライブを開催する。このほどインタビューに応じ、「人はみな死ねば善い人になる わたし まだ生きてますから」とサブタイトルを付けた公演への意気込みなどを語った。3回連載の第1回。
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「サブタイトルのフレーズを思いついた時に『私はいい人じゃないから何をしゃべってもいいんだ』と自分に言い聞かせました。ちょっと危ない話も入るかな。自分が一番楽しみなんですから。お客さまが見て聞いてくれるよりも、自分がどんな話をするのだろうかっていうのを一番楽しみにしています」
2012年(平24)にスタートし、コロナ禍の中止を挟んで今年で11回目となる東京公演。「基本的にフリートーク。ストーリーなんてありません」。10代から書いている日記がネタ帳だ。70歳を過ぎた今でもA4サイズの紙に面白い話などを連日書きつづっている。
「例えば『よさこい』ってありますね。『よさこい祭り』の『よさこい』。私はそれを見るたびに、上に平仮名で『あの』って付けたくなるんです。『あのよさこい』。あの世から呼ばれてるってことでしょ? 『あの世さ来い』。死んだ人が呼んでるなって。そういう話を作っていくんです。『よさこい』を歌ったり踊ったりしている人は、そんなこと考えたこともないですよね。私はそっちのほうにしか考えがいかない。普段、何げなく耳に入ってくる言葉をちょっと変えるだけで笑える言い方になるんじゃないか、みたいなのがたくさんある」
一例を挙げながら、耳なじみのある言葉がネタになっていくさまを明かした。
「『返す言葉がない』って普通に言いますよね。でも、借りた覚えがないんですから返す覚えなんかないんじゃないかって。明日はだんだん少なくなっていく。昨日はどんどん増えていくみたいな。年を取ってくると昨日ばっかり増えるじゃないですか。明日なんかないですから。もう、いつ死ぬか分かんないんだから、みたいなこと。こういうことを日記に書いてると、とても楽しくてしょうがないんですよ」
アイデアやジョークが次々にあふれ出てくる。
「ニュートンがね。目の前にある木からリンゴが落ちるのを見て何を発見しましたか? そう、万有引力の法則です。その落ちたリンゴを家に持って帰ったんですよ。黙って持って帰った。だから万有引力を縮めると『万引』になる。そういう考え方ですね」
言葉で楽しく遊ぶ。少し毒気を帯びた話にする。それは“ちょっと危ない”話のほうが面白いからだと自信たっぷりに説明する。その発想の原点は中1の時にさかのぼるという。【松本久】
◆伊奈(いな)かっぺい 本名佐藤元伸。1947年(昭22)4月16日、青森県弘前市生まれ。青森短大卒。68年に青森放送に入社。74年に方言詩集「消ゴムでかいた落書き」を発表し、77年にレコード発売。24年にアルバム全37作を世界配信した。07年に定年退職し、現在は青森放送のラジオ「伊奈かっぺい 旅の空うわの空」、「伊奈かっぺい ことわざのわざ」のパーソナリティー。ほかに詩人、イラストレーターなどマルチタレントとして活躍。



