特別先行版「鬼平犯科帳 本所の銕(てつ)/密告」(山下智彦監督)が10日、全国公開される。父・松本幸四郎(53)がふんする鬼平の若き日を演じた市川染五郎(21)に聞いた。
「曽祖父の初代松本白鸚をイメージして池波(正太郎)先生が書かれたのが『鬼平』の原点です。父が引き継いでそれが残っていくのがうれしいですね」
大叔父にあたる中村吉右衛門のテレビシリーズが人気を博した。
「大叔父の作品では、銕三郎時代(若き日の鬼平)の回想シーンも大叔父自身が演じています。東京から京都の撮影所に通う新幹線の中で、毎回映像でそれを見返して染み込ませました。それを引き出しに入れて、自分なりの銕三郎を作り上げていく感覚です。今回は撮影所で平蔵にふんした父を見る機会もあって、未来の自分を見ているような…。父の声の出し方や歩き方も意識しましたね」
演じた無頼な青年時代については「やんちゃしていますけど、持ち前の正義感があって悪になりきれない。そんな人間的な部分が将来の平蔵の情の厚さ、懐の深さにつながる。変化していくグラデーションをイメージしました」という。
25年にまたがる作品の敵役は駒木根葵汰(26)。
「敵役然とされていて、嫌なヤツで(笑い)。繊細な役作りをされるから、背景に孤独を感じました。それは銕三郎にも重なるところがあって、勧善懲悪にくくられない、作品の深さに通じていたと思います」



