片岡愛之助が、妻で女優藤原紀香がいつも聞いてくれる言葉を明かした。
愛之助は10月に東京・歌舞伎座での「錦秋十月大歌舞伎」で上演する「鯉つかみ」の取材会を行った。
愛之助は、12年の永楽館で初演して以降、明治座、博多座、大阪松竹座で再演を重ねてきた。立ち回りや早替わりや、本水(ほんみず)と呼ばれる実際の水を使った演出が見どころ。水の中でコイと格闘する派手な場面では、前方席は水がばっしゃばっしゃと降りかかる。派手で楽しいが、演じる方はものすごい体力を使うという。
愛之助はトライアスロンに例えた。「早替わりして走り回って、最後、スイムしてランみたいなこと」とした。最後のランは、泳ぎ六方と呼ばれる、泳ぐような身ぶりをしながら花道を引っ込む演技のこと。水を使った演出の後に、花道を踏みしめながら引っ込まなければいけないので、足元もすべって大変らしい。体幹も必要になる。
1カ月間の公演を行ううち「3~4キロはやせるんじゃないでしょうか」と言うほどで、合わせた衣装が落ちるほどになるとか。
過酷な公演は、食事やジムでのトレーニングに支えられているという。愛之助は食事について「妻に任せています。料理を作るのがすごい好きでいてくれて、本当に頭が下がりますね。ありがたい次第です」と藤原について触れた。
ただ、10月は藤原も「メイジ・ザ・キャッツアイ」に出演する。愛之助は「10月は『キャッツアイ』中なのであんまり迷惑かけたくないんですけど」と言いつつ、「地方公演行ってなかったら全部やってくれます。本当に感謝です」と話した。
愛之助は「僕すごくおなかすくんですが、顔見たら必ず『おなかすいてる?』って聞いてくれる」と明かした。
顔を見たら「おなかすいてる?」と聞いてくれるって、なんだか、いいなあと思った。体が資本の俳優、資本を支える食事について素早く直球で聞いてくれる感じ、潔くて温かい。こういう話をしている時の愛之助の表情はふんわりと笑みを見せていた。ありがたい、感謝、頭が下がります、どの言葉にも気持ちがこもっていた。
以前取材した時、互いの舞台を見に行ったり、公演中にスケジュールが合わない時はゲネプロと呼ばれる通し稽古に行くこともあると聞いた。芝居のあの部分いいなあとか、こうしたらもっと分かりやすくなるかもなど、互いに話すこともあるという。食事だけでなく、こうしたコミュニケーションが、2人を支えているのだなと思った。【小林千穂】



