行方が分からなくなっているタレント酒井法子(38)の携帯電話の電波が4日夕に山梨県南部の身延山付近で1度確認されたことが5日、分かった。山梨は20年前に亡くなった父三根城(みねぎ)さん(享年49)が住んでいた土地だった。酒井は夫で自称プロサーファーの高相祐一容疑者(41)が3日未明に覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕されて以降、息子(10)とともに行方不明で、連絡が取れていない。同容疑者が現行犯逮捕された時には、現場で泣き崩れる姿が目撃されたことが明らかになった。

 電波がキャッチされたのは4日午後3時ごろで、身延山付近だった。身延山は山頂までロープウエーで行ける家族向きで観光客の多い山。携帯電話は通話はしなくても、電源が入っているだけで、微弱な電波を発している。電波が確認された時、通話をしていたのかどうかは不明だ。その後は電源が切られたか、圏外にいるかのどちらかで、電波は確認されていない。山梨県警南部署ではタクシー会社やガソリンスタンドに酒井の目撃情報を求め、チラシも配布したが、この日夜までに具体的な情報は寄せられなかった。

 また、この日夕のテレビニュースで酒井が目撃されたとの情報が流れた身延町には、酒井の親せきの墓がある。墓のある寺院に取材陣が集まり始めると、住職らが念のために墓地を確認。「(タレントの)清水由貴子さんのようなこともあったので」と、4月に父の墓前で自殺した清水さんを例に挙げながら話した。

 山梨は、酒井の亡くなった父三根城さんが最期まで住んでいた。父は芸能活動も結婚も子育ても、亡くなった後も見守ってくれている存在だった。結婚する前には、都内にある父の墓参りに夫妻で行こうとした時に妊娠が判明、真っ先に父に喜びを報告したほどだった。

 4歳の時に母が死去し、父と離れて暮らさざるを得ない状況が続いたが、数年後に父が再婚、酒井も14歳で芸能界入りした。三根城さんは、再婚した妻の実家がある山梨県内に、義兄のすすめもあって移り住んだ。アイドル、のりピーとして大人気だった酒井を見守っていた三根城さんだったが、89年5月、大月市の中央自動車道での交通事故で亡くなった。甲斐市(当時の竜王町)の自宅で行われた葬儀で18歳の酒井は、500人の弔問客と応対し「一番大事な人でした」と号泣した。

 現在、その自宅には別の人物が住んでいるが、近所の人は「有名人のお父さんの自宅だったとは驚きました」と話した。当時、三根城さんの葬儀を手伝い参列した近所の住民によると、酒井は葬儀後「これからも頑張りますので、見守ってください」などと書いた色紙を、お礼として1人1人に手渡したという。

 優しくまじめな性格には、夫の覚せい剤所持での逮捕は大きな衝撃だった。3日未明に渋谷区の路上で、高相容疑者が現行犯逮捕された時には、泣き崩れる姿が目撃されていた。同容疑者は道玄坂で職務質問を受けた時「妻を呼んでいいですか」と酒井を呼び、約30分後に到着した酒井は「気の弱い人なので」と気丈に対応していた。しかし現行犯逮捕されると、「この辱めをどうしてくれるの?」と、声を震わせたという。その後、酒井は現場を立ち去り、連絡を絶った。

 現在、同容疑者については覚せい剤の入手ルートなどの取り調べが続いている。東京地裁はこの日、同容疑者について13日までの拘置を認める決定をした。

 [2009年8月6日8時41分

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