昨年11月15日に心不全で死去した作詞家星野哲郎さん(享年85)の一周忌法要「紙舟忌」が12日、都内のホテルで約350人を集めて行われた。「紙舟忌」は、星野さんが生前「流行(はやり)歌は水に浮かべるとすぐに溶けて沈んでゆく『紙の舟』に似てはかないもの」と語っていたことに由来する。星野さんは船乗りの夢を病のため捨て、浮かべては消え、消えてはまた浮かべる「紙の舟」に人生を託してきた。

 「函館の女」でスターとなり、祭壇の「紙舟忌」の文字を書いた北島三郎(75)は「歌手として(作曲家の)船村徹先生が父で、哲さまが母親だった」。「三百六十五歩のマーチ」の水前寺清子(66)は「けんかばかりしていた、父と娘でした」と涙した。「思い出さん今日は」の島倉千代子(73)は「先生の瞳のやさしさ、温かさに元気をもらった。優しい先生でした」。「雪椿」の小林幸子(57)は「私にとってはすごくオチャメな人。(結婚を)報告したかった」と声を詰まらせた。8歳年下の会社社長と、出会った記念日の11月15日に婚姻届を出す予定だが、くしくも星野さんの命日と重なった。

 このほか「兄弟船」の鳥羽一郎をはじめ、五木ひろし、大月みやこ、島津亜矢、堀内孝雄らが参列した。