14年のNHK大河ドラマは岡田准一(31)主演の「軍師官兵衛」に決まった。制作発表が10日、都内の同局で行われた。主人公黒田官兵衛は、戦国時代に天才軍師と呼ばれ、豊臣秀吉の天下統一を助けた武将。大河ドラマに初めて出演する岡田は「歴史が大好きなので身が震えるような思いです」と話した。脚本は前川洋一氏のオリジナル。

 岡田は引き締まった表情で抱負を語った。「歴史が大好き。もともと学校の歴史の教師になりたかったくらいなんです」。戦国時代は特に好きだという。出演依頼を受けた時には「この時代を演じさせてもらえるなんて、身が震えるような思いになりました」。歴史上の人物を演じる喜びを語る言葉は尽きなかった。「この時代を生き抜く時間が来るかと思うとワクワクします。キャストの皆さんと精いっぱい生き抜いていけたらいい。頑張ります」。

 歴史好きとあって主人公への理解度も深かった。「多面的です。妻を愛し続けた面がありながら、天下統一のために非道な作戦もとる。優秀ゆえに秀吉に恐れられた面もある」。徳川家康に握手を求められた息子に対して官兵衛が「反対の手は何をしていた。その手で殺せただろう」と言い放ったエピソードも取材陣に紹介した。「戦国時代の面白さは求められる能力が途中で変化した時代。侵略だけでなく、経済の在り方など形が変わっていった」と時代の分析もしつつ、「官兵衛は両方を経験して秀吉を支えた魅力的な人物。人間味のある武将を演じたい」と話した。

 大河ドラマ出演はこれが初めて。「家族や親族に喜んでもらえるかな。それだけ大きな国民的番組ですから」と笑顔を見せた。

 NHKは、岡田の起用について「旬の俳優であり、時代劇への造詣や知識が深い」とした上で「知識もたたずまいも時代劇スター。時代劇をやる上での体のキレや身体能力が優れている」と説明した。

 大河ドラマではこれまでも、山本勘助や直江兼続という主君を支えた軍師、武将が描かれた。同局では「いずれも夢の途中だった。官兵衛は秀吉を天下人にした。結果を残した人物」と違いを強調しながら、「今はチームワークが求められている時代。最強のナンバー2を描くことで日本を元気にできる」とした。脚本を手掛ける前川氏は「歴史好きにはたまらない、いぶし銀のような武将。生き生きと人間くさく描きたい」と話した。

 ◆岡田准一(おかだ・じゅんいち)1980年(昭55)11月18日、大阪府生まれ。95年にV6メンバーとして「MUSIC

 FOR

 THE

 PEOPLE」で歌手デビュー。同年フジテレビ系ドラマ「Vの炎」で俳優デビュー。97年日本テレビ系「D×D」でドラマ初主演。ドラマと映画で主演ドラマが03年に映画化された「木更津キャッツアイ日本シリーズ」では映画初主演。「木更津キャッツアイ」「タイガー&ドラゴン」「SP」など人気ドラマに多数主演。血液型B。

 ◆黒田官兵衛

 1546年(天文15)に播磨国(兵庫県)姫路城主の長男として生まれる。父は大名小寺氏の家老。22歳で結婚、家督を継ぎ小寺家家老に。織田信長の将来性を見抜き、織田家を裏切った小寺家と縁を切り、秀吉の軍師になる。本能寺の変を真っ先に知り「中国大返し」を図り、天下取りを支えた。後に秀吉に「次の天下を狙う男」として警戒されたほどの頭脳派だった。生涯50回を超える合戦で1度も負けなかったといわれている。築城の名手としても知られる。

 ◆岡田准一と時代劇

 木村拓哉が主演した01年フジテレビ系ドラマ「忠臣蔵1/47」で大石内蔵助の息子、大石主税を演じたのが最初。06年の主演映画「花よりもなほ」では、あだ討ちなど武士の生き方に疑問を持ち、人間的に成長していく若い武士を演じた。公開中の主演映画「天地明察」では江戸時代に日本独自の暦作りに挑んだ安井算哲を演じている。