映画やドラマの名脇役として活躍した俳優夏八木勲(なつやぎ・いさお、本名同じ)さんが11日午後3時22分、膵臓(すいぞう)がんのため神奈川県鎌倉市の自宅で亡くなった。73歳。

 夏八木さん最後の映画「そして父になる」(10月5日公開)と、最後のドラマとなったフジテレビ系「ゴーイング

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 ホーム」を手がけた是枝裕和監督(50)は「最後の作品に関われたことを心から誇りに思います」と語った。

 是枝監督は昨秋、ドラマの収録現場で夏八木さんが体調を崩した際に病状を知らされたが「芝居がやりにくくなると申し訳ないので、共演者にも内緒にしてほしい」と頼まれたという。最終回は夏八木さん演じる父の葬式のシーンが中心だったが、夏八木さんは周囲の迷いを見透かすように「良い予行演習になるから」と明るく笑い、直接画面には映らないひつぎの中のシーンまで演じたという。

 今年1月に渋谷で食事をしたのが最後となった。是枝監督は「そして父になる」がコンペティション部門にノミネートされたカンヌ国際映画祭を前に「『撮影の途中で倒れてしまい、ご迷惑をおかけしました』と深々と頭を下げられた姿に厳しい覚悟を感じました。早すぎる訃報はとても残念です」と語った。

 また、「ゴーイング-」主演の阿部寛(48)も、葬式のシーンについて触れ「僕の目線のためだけに来て、ひつぎの中に入ってくださったこと、心から涙が出ました。息子として共演させていただいたこと、一生の誇りに思います」と感謝した。

 ◆夏八木勲(なつやぎ・いさお)本名同じ。1939年(昭14)12月25日、東京都生まれ。慶大文学部仏文科在学中の60年に文学座付属演劇研究所に入所。その後、慶大を中退し、63年に俳優座養成所入所。「花の15期生」に。66年卒業後、東映と契約して「骨までしゃぶる」で映画デビュー。同年、「牙狼之介」で主演。74年、NHK連続テレビ小説「鳩子の海」で注目を集め、映画「野性の証明」「戦国自衛隊」では野性味ある演技を披露。昨年公開の主演映画「希望の国」では、芸術選奨文部科学大臣賞映画部門を受賞した。