NEWS加藤シゲアキ(26)が3作目の小説を発表する。「Burn.

 -バーン-」(角川書店)で、3月24日に発売予定。4日、加藤は前2作同様、作品の舞台にもなった東京・渋谷で取材に応じ、詳細を語った。「集大成」と位置付けた3作目のテーマは、家族と火。執筆に半年かかったと振り返り、最後の1カ月は毎日ソファで寝るなど、生みの苦しみも明かした。

 東京・渋谷の宮下公園のすぐ近く。加藤はこの公園での出来事を懐かしむように語り始めた。

 「中学生の時に、ここでカツアゲされたんですよ。1000円ちょっとですが、小銭まで持って行かれて。大変な目にあって、トラウマもちょっとあって。それも含めて印象に残っています」

 主人公は舞台演出家。天才子役だった幼少期と現在の2つの時代を軸に、魔法使いのようなホームレスや愛に満ちたドラッグクイーンと出会い、成長する姿を描いているという。「題名にはぬくもりといった人間らしさを覚えていくことと、燃えろといった意味も込めました」。

 約280ページで、分量は400字詰め原稿用紙439枚。ようやく2日に完成した。「今までで一番悩みながら書きました。最後の1カ月はあまり寝ないように、ソファで寝ていました」。昨年3月にプロット(物語)作成に着手。5月から執筆に取り組んだが、NEWSの全国ツアー中は中断せざるを得なかった。

 執筆期間は半年。丁寧な取材を行ったからこそ、時間がかかった。「基本的には想像。そこにリアリティーを持たせることが大変でした」。都内の病院に足を運び、医師に妊娠や出産に関する話を、子供を持つ友人に親の気持ちを聞いた。

 主人公の天才子役時代には、実体験も反映させている。「転校が多くて、寂しい時期もあった。小6でジャニーズに入って夢を持つ人たちと出会い、切磋琢磨(せっさたくま)して。大きな影響や熱さをくれた人々を家族に置き換えて、書きたかったんです」。魔法使いのようなホームレスについて、記者から「ジャニー喜多川氏(ジャニーズ事務所社長)がモデルか」と問われると、「そんなことはないです」と否定しながらも「多少は(影響が)あるかもしれないです。変わっているけどすごい人」と照れ笑いした。

 これで、渋谷が舞台の「渋谷サーガ」3部作を完成させた形になる。「集大成として描きたかった。読者への裏切り方など、前2作で学んだことを出したいと思っていました。いつも作品は100点満点です」と、手応えを口にした。【近藤由美子】

 ◆加藤(かとう)シゲアキ

 本名・加藤成亮。1987年(昭62)7月11日、大阪府生まれ。青学大卒。99年ジャニーズ入り。13日スタートのフジテレビ系月9ドラマ「失恋ショコラティエ」に出演。12年1月発売の作家デビュー作「ピンクとグレー」は12万部、13年3月発売「閃光スクランブル」は8万5000部を売り上げてベストセラーに。いずれも林真理子氏や有川浩氏ら人気作家が称賛。175センチ。血液型A。