2013年度国内映画賞で8つの主演男優賞を獲得した松田龍平(30)が、今年初めて取り掛かる映画作品が22日、判明した。劇団「大人計画」主宰の松尾スズキ(51)が監督と脚本を担当する映画「ジヌよさらば~かむろば村へ~」(来春公開)に主演する。お金アレルギーで銀行をやめ、1銭も使わない生活を目指し東北の寒村に来た男を演じる。

 松田が10年ぶりに松尾監督作品に主演する。04年ベネチア映画祭国際批評家週間に出品された松尾の初監督作品「恋の門」以来となる。2人は昨年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」でも共演。松田は芸能事務所のマネジャー水口琢磨(ミズタク)役、松尾はアイドル好きの喫茶店マスター役で、松尾は「『あまちゃん』で共演したり、龍平の最近の仕事を見るに、のってるなと思い10年前のコネの使いどころはここだとねじこんでみました」とオファーの経緯を明かした。

 松田が数あるオファーから同作を選んだのは、松尾との関係だけが理由ではない。同作は、小学館ビッグコミックで07年から08年まで連載されたいがらしみきお氏のコメディー漫画が原作で、テーマは「お金を1銭も使わない」。これが、消費増税で揺れる日本にタイムリーと感じたようで、松田は「この現代社会でお金を使わずに生きていけるのかという題材も楽しみです」と話している。

 共演陣も阿部サダヲ、松たか子、二階堂ふみ、西田敏行と豪華な顔ぶれがそろった。5月にクランクインし、各国際映画祭への出品も視野に入れている。

 ◆「ジヌよさらば~かむろば村へ~」

 高見武春(タケ、松田)は、お金アレルギーで銀行をリストラされた。1円も使わない、自給自足と温かな人間交流を求め100万円で農家の廃屋を買い「かむろば村」へ引っ越した。村はゴミの収集や病院、警察などを隣の市に委託するほど過疎が進んでいたが、村長ヨサブロ(阿部)や老人なかぬっさん(西田)らの助けで、タケは労働力と食物の物々交換で生活を続ける。▼松田龍平13年受賞リスト日刊スポーツ映画大賞日本アカデミー賞報知映画賞毎日映画コンクール東京スポーツ映画大賞キネマ旬報ベスト・テン日本映画批評家大賞TAMA映画賞※全て主演男優賞。日本アカデミー賞は優秀助演男優賞も受賞