トランプ前米大統領が起訴された不倫口止め疑惑に絡む事件で、ニューヨーク州地裁は4月30日、トランプ氏がソーシャルメディアと選挙活動用ウェブサイトで証人や陪審員候補に言及し、かん口令に違反したとして罰金9000ドル(約140万円)と投稿の削除を命じた。今後は収監命令もあり得ると警告した。

11月の大統領選で返り咲きを狙うトランプ氏は、かん口令で言論の自由を奪われていると主張。この日の公判終了後、起訴に値する事件ではないとの持論を繰り返し「本当に恥ずべきことだ」と不満をぶちまけた。地裁判事は今回の決定で、かん口令の範囲を必要最低限に抑えていると反論した。

判事は3月下旬、トランプ氏に対して証人らに関する言及を禁じた。トランプ氏の4月10~17日の投稿のうち、9件がかん口令違反に当たると判断し、1件につき1000ドルの罰金を命じた。トランプ氏に不利な証言をするとみられている元顧問弁護士を批判する記事の転載などだった。

トランプ氏の弁護人は、本人の書き込みではなく転載だと強調。元顧問弁護士らへの政治的な反論も含まれるとして、かん口令を破っていないと主張していた。

判事は「トランプ氏の転載は、その内容を自身が支持していると伝えることが目的だ」との見解を示した。検察は10件がかん口令違反に当たると指摘したが、判事はうち1件について政治的な言論に当たる可能性を考慮して除外した。(共同)