車上荒らしで入手した他人のクレジットカードを使い、ATMから現金80万円を引き出したとして、千葉県警柏署は2日までに、窃盗の疑いで、大相撲友綱部屋の力士魁心鵬(かいしんほう)こと小林峰生容疑者(22=東京都墨田区)を逮捕した。署の調べに「間違いありません」と容疑を認めているという。

 小林容疑者は千葉県流山市出身。昨年12月28日の新弟子検査を受け、今年1月8日に合格。初場所の前相撲から土俵に上がり、先月の夏場所は序二段で2勝5敗だった。逮捕容疑は友人の男(22=別の窃盗事件で逮捕、起訴)と共謀し、昨年11月13日、柏市内の男性会社員(62)宅の駐車場に止まった車から、クレジットカードなどを盗み、同市内のコンビニのATMで現金80万円を引き出した疑い。

 友綱親方(64=元関脇魁輝)は「稽古は一生懸命頑張っていた。本当にショックです」とぼうぜんとした表情。「せっかく相撲が盛り上がってきたところでファンの皆様、現場の皆様に迷惑を掛けることになって申し訳ない」と謝罪した。

 親方によると、小林容疑者は中学卒業後の角界入りを希望したが、親の反対で高校に進学。高校中退後、再度角界入りを目指すも、やはり親の反対で実現せず、建築関係の仕事をしていたという。事件があった昨年11月13日が初日だった九州場所(同月27日まで)の開催中、親方や力士が不在だった友綱部屋を訪れ、角界入りを希望。場所後の昨年12月に部屋に入った。

 日本相撲協会は「事実関係を確認しており、コメントできない」としている。都内で取材に応じた八角理事長(53=元横綱北勝海)は「(角界に)入る前のことなので、答えようがない」と話した。

 ◆友綱部屋 江戸時代の1781年に名関脇と呼ばれた初代が興した名門。明治から大正にかけ第22代横綱太刀山を擁し、魁皇ら3大関も輩出。友綱親方は6月12日に定年のため、夏場所後に大島親方(元関脇旭天鵬)が年寄「大島」から「友綱」に変更し継承する。