これで竜王戦に続き、棋王戦でも本戦トーナメント進出を決めた。いずれも史上最年少での進出だ。次は7日の上州YAMADAチャレンジ杯で都成竜馬四段と対局する。勝ち続ければ同日午後に最大2局があり、1日3連勝の可能性がある。連勝記録では歴代3位タイの22連勝(92年)の記録を持つ羽生3冠に並び、一気に抜き去る可能性も出てきた。

 5歳の夏に将棋を始めた藤井四段。小学校のとき将棋大会に出場した記念に羽生3冠の扇子をもらった。うれしくて自宅で扇子を広げ、写真を撮った。母裕子さん(47)は「聡太にとって羽生先生はあこがれというよりも、表現しがたい方です」。もちろん今でも特別な存在だ。天才棋士がついに「羽生超え」を視界にとらえた。【松浦隆司】

 ◆棋王戦 7大タイトルの1つで、予選から本戦への勝ち上がりは8人。これに前年度ベスト4、B級1組以上在籍などシードされた棋士25人が加わった計33人によるトーナメント戦で、渡辺明棋王(竜王=33)への挑戦権を争う。タイトル戦は1日制で5番勝負。例年、年明けの2~3月に行われる。

 ◆羽生善治現3冠の22連勝 1992年(平4)度に当時22歳で達成した自身最高記録。この連勝で、後に史上初の「7大タイトル全制覇」を達成する足掛かりを築いた。91年度は棋王1冠だけだったが、92年度に入って福崎文吾王座、谷川浩司竜王からそれぞれタイトルを奪取。一気に3冠となり、翌93年8月には史上最年少で5冠(竜王・王位・王座・棋王・棋聖)。94年6月に初めて名人を獲得し6冠。96年2月には谷川王将を破り、前人未到の7冠を達成した。

<藤井四段の今後の対局>

 ◆7日 上州YAMADAチャレンジ杯=都成竜馬四段。勝てば、阪口悟四段。さらに勝てば、ブロック決勝戦。最大1日3局。

 ◆10日 第3期叡王戦=梶浦宏孝四段。勝てば、都成四段対井出隼平四段の勝者と。最大1日2局。

 ◆15日 順位戦C級2組=瀬川晶司五段。