将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が2日、自身の持つデビュー後の連勝記録を「20」に更新した。大阪市の関西将棋会館で指された第43期棋王戦予選決勝で後手の澤田真吾六段(25)を155手で破り、本戦トーナメント進出を決めた。最終盤の大逆転勝利で、20連勝は歴代6位タイの記録となった。次戦は、7日に上州YAMADAチャレンジ杯で都成竜馬四段(27)と対局。同杯は勝ち続ければ最大1日3局を戦うため、22連勝の記録を持つ羽生善治3冠(46)の記録を一気に超える可能性もある。

 ひるまずに攻め込んだ。

最終盤、澤田六段があと1手を指せば、詰みそうな局面。藤井四段が驚異の粘りを見せた。王手を連発し、敗色濃厚な場面から大逆転で勝利を手に入れた。連勝記録は大台の「20」に突入した。

 「今日は苦しかった。(20連勝は)自分の実力からすれば僥倖(ぎょうこう=幸運)としかいいようがないです」と、珍しく興奮気味に話した。澤田六段は本年度7戦負けなしの勝率10割。昨年度を含め8連勝中の強敵を押し切った。

 勢いだけではない。底知れない強さがある。師匠の杉本昌隆七段(48)は追い込まれたときこそ、本当の実力を発揮すると解説する。

 「ハイリスク、ハイリターン、きわどく勝つのが持ち味。すごく危なっかしいのですが、受けずに踏み込むのが藤井将棋。どんなに自分が危なくても、1手勝てればいい。それが根底にある。空中サーカスみたいな将棋です」

 相手が強ければ強いほど、ハイリスクの一手を選択する。14歳にしてトッププロのような鋭い勝負勘も持ち合わせる。午前10時に始まったこの日の対局は互いに手詰まり状態となり、同11時28分に千日手が成立。午後0時40分に始まった指し直し局も約8時間にわたる大熱戦となったが、最後の最後に勝利につながるギリギリの1手を指し続けた。