将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が21日、大阪市の関西将棋会館で王将戦予選に臨み、で若手実力者の澤田真吾六段(25)を持ち時間23分残し、99手で破り、歴代1位の連勝記録タイとなる28連勝に並んだ。

 昼食には、「ごま味噌(みそ)とじうどん」を注文。抗酸化作用が高いとされるセサミンを補給し、午後の対局に臨んだ。「(一時、劣勢に)まあ、なんとかしのいで、反撃の形になってよかったな、と」。タイ記録をかけた大一番を控えたこの日朝は「ま、普段通りと思って」と、平常心を心がけて向かったと明かした。

 天才中学生がついに、30年破られなかった神谷広志八段の28連勝(87年)の大記録に並び、自身の持つデビュー後の連勝記録も「28」に更新。対局を重ねるたびに強くなる14歳。澤田六段は20連勝のときに戦い、連勝中に最も苦戦した相手だったが、続けて撃破した。

 藤井四段は02年7月19日、愛知県瀬戸市生まれ。5歳の夏に祖母からもらった将棋セットで覚え、5歳の冬から自宅近くの「ふみもと子供将棋教室」へ。週3回、1日3時間、将棋を学んだ。20級から1年間で4級へ昇級。1年間に16級昇級した記録は同教室には前例がなかった。

 小学4年で名古屋市在住の杉本昌隆七段(48)に弟子入りし、プロ棋士を目指して奨励会に入会。15年、三段に昇段。16年10月、最年少の14歳2カ月でプロ棋士四段に。12月のプロデビュー戦では現役最高齢、加藤一二三・九段(77)を破った。

 その加藤九段が前日に引退となったことを問われると、1分近い“長考”の末にやっと言葉を出した。

 「はい…デビュー戦が加藤先生だったので、昨日のことは自分としては寂しい思いです」と答えた。

 記録更新がかかる次戦は26日、竜王戦決勝トーナメントで増田康宏四段(19)と対局。これには「全力投球でいきたいです」と話していた。