「ヒトラー発言」で批判を浴び、撤回したばかりの麻生太郎副総理兼財務相が2日、再び、「失言」した。愛媛県西条市での講演で、祭りに打ち込む人を表現した際、精神障害者に対する差別的な表現を使った。

 失言が飛び出した講演は、今後の安倍政権の行方を占うトリプル衆院補選(10月10日告示、10月22日投開票)の1つ、愛媛3区補選の応援の一環で行ったものだ。安倍晋三首相が、自民党候補の3勝全勝を指示する中、首相の「盟友」の止まらない失言で、補選への影響は避けられない。

 首相は先月3日、支持率下落傾向に陥ったそれまでの流れを変えようと内閣改造に踏み切り、「結果本位の仕事人内閣」と命名したが、問題発言は後を絶たない。

 改造直後の8月5日、江崎鉄磨・沖縄北方担当相が、地元の愛知県一宮市で取材に応じた際、「しっかりお役所の原稿を読ませていただく。立ち往生より、答弁書の朗読だ」などと発言。北方領土問題についても「素人」と述べた。あまりの緊張感のなさに問題視する声が相次ぎ、江崎氏は「不用意な発言だった」と、謝罪に追い込まれた。

 一方、麻生氏は「ヒトラー発言」について、「あしき政治家の例として挙げた」と釈明したが、ヒトラーに関連した失言は、今回が初めてではない。

 2013年7月、都内の講演で憲法改正に触れ、ナチス政権に言及した際、「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気付かなかった。あの手口を学んではどうか」と発言し、国内外で批判を浴びている。

 共産党など野党は、麻生氏の罷免や議員辞職を求めている。この日の失言も加わったことで、波紋はさらに広がりそうだ。