衆院選は15日、ラストサンデーを迎えた。今回の構図は、自公VS希望&維新VSリベラル系の三つどもえ戦。しかし沖縄は、自公と、前回4つの小選挙区をすべて勝った「オール沖縄」が、再びの激突だ。公示翌日、同県東村で米軍ヘリが不時着、炎上する事故が発生。政府の基地政策を批判してきた翁長雄志県知事は15日、オール沖縄4人が再び勝利するよう、支持を訴えた。来年は知事選など重要選挙を控え、今回は前哨戦でもある。一方の自民党はヘリ事故の影響を懸念。議席獲得への不安材料も重なり、戦々恐々の戦いだ。

 「ヘリが墜落するような状況を、沖縄は強いられている。国に押しつけられた国難だ」。15日夕、沖縄県うるま市で街頭演説した翁長氏は、政府の基地政策をあらためて批判した。同市は、公示翌日の11日に米軍の大型輸送ヘリが不時着、炎上した東村も含む沖縄3区。安倍晋三首相が、衆院解散の大義として命名した「国難突破解散」を逆手に取った翁長氏は「オール沖縄の4人全員を再び当選させることが、この解散の大義だ」とも述べ、自民への対決姿勢をにじませた。

 オール沖縄を率いる立場の翁長氏は15日、1区の赤嶺政賢、2区の照屋寛徳、3区の玉城デニー各氏を応援。へリ事故にも触れ「4勝して、国に沖縄の意地を見せよう」と強く訴えた。

 事故ヘリは米軍普天間飛行場所属で、一部に放射性物質が使用されていたことも発覚。米軍機の事故は後を絶たず、米側の説明も不十分で、県民の怒りや不安は広がる。翁長氏や4候補は、基地を抱えるがゆえの出来事とし、衆院選完全勝利で、国に再び「民意」を突きつけたい戦略だ。

 14年の衆院選は、翁長氏が勝った知事選直後で、オール沖縄の4人は勢いに乗り、4つの小選挙区すべてで自民党候補を撃破。ただ最近は、翁長氏の勢いにも変化がみられる。県が反対する普天間飛行場の名護市辺野古移設は、政府との訴訟に敗れて埋め立て工事が始まった。今年は浦添市など3つの市長選で、翁長氏系候補が敗北。自民党関係者は、「前回のような逆風ではない」と打ち明ける。

 来年2月には辺野古がある名護市長選、秋には翁長氏が再選を目指す県知事選が控え、衆院選はまさに前哨戦となる。今回、特に翁長氏がかつて市長を務めた那覇市を含む1区で、自民VSオール沖縄が大激戦といわれる。翁長氏の影響力が試される戦いにもなっている。【中山知子】