神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかり、無職白石隆浩容疑者(27)が死体遺棄容疑で逮捕された事件で、警視庁が被害者の身元を公表してから一夜明けた10日、被害者が通っていた学校関係者らが悲痛な思いを語った。

 さいたま市の高校2年久保夏海さん(17)が通った埼玉県立上尾南高(上尾市)では、横瀬元応教頭(52)が取材に応じ「誠に無念。元気に戻って来ると思っていた。深い悲しみでいっぱいです」と肩を落とした。

 9日夜、久保さんの母親から「身元の確認ができた」と学校側に連絡があった。両親は10月1日、警察に捜索願を出し、学校側は同2日、「娘の行方が分からない。学校に行っていないか」などと初めて報告を受けたという。それ以降、さらに事件発覚後も、両親からほぼ毎日のように担任や学年主任へ、娘の欠席連絡と行方に関する相談があったという。

 白石容疑者はツイッターなどのSNSを利用し、被害者と接触したとみられているが、同校では事件前から、SNSの危険性について、外部から講師を招き、研修会を開いて、注意喚起していた。それにもかかわらず惨事は起きてしまった。

 久保さんは2年になってから部活動には所属していなかったが、入学当初は音楽部、昨年9月の文化祭を経て、漫画・アニメ同好会に所属していた。行方不明になるまで、学校を欠席することはほとんどなかった。

 この日午前には全校生徒を学年ごとに集め、校長から事件の報告を行った。うつむく生徒が多く、すすり泣く声も聞こえたという。生徒の精神状態をケアするため、同校はカウンセラーを手配した。

 横瀬教頭は、白石容疑者に対し「悔しい。憤りを感じる」と話し、事件については「2度と子どもたちを巻き込む事件が起こらないようにしてほしい」と語った。